冷たい雨――幼い少女が鰐を連れて歩いている。
「ねぇカレン。此処を歩いたらお家なんだよ」
「グァ」
カレンと言われた鰐が鳴いている。少女は歩いて家路に着こうとした。すると誰かとぶつかった。
「あ、ごめんなさい!」
「っテメェ…何処を歩いているんだ!」
「ごめんなさい…」
少女は謝りながらも、前に居る若い男が怒っていたのは明らかだった。
「なんなら、この鰐を殺す!」
「やだ、やめて!カレンを殺さないで!」
「だったらテメェの命を奪うまでだ!」
「やだ、やだ!」
銃口が向けられ、少女はカレンを庇った。

銃声が響いた。血が流れる音がした――。

倒れている少女は右目が駄目になったと思いながらも、左目でカレンを見た。
彼女は無事だった。
「………良かった……」
意識を失い、暗闇の世界が彼女を襲った。

気がつけば病院だった。
ベッドの隣に居るのは泣いている両親だった。両親は泣きながら「良かった、死んでいなくて」と泣いていた。
右目が駄目になっています。と医者に告げられてから、義眼をつける事となった。だけど、歪であって気に入らない。
クラスメイトにも馬鹿にされた。だから包帯を巻いた。

世界はモノクロだった。

「じゃあジム、また会おうね」
「ああ」
クラスメイトと別れてから、自分は家路につこうとした。すると歌声が聞こえていた。
「…Song?」
歌声は隣にあった病院から鳴り響いていた。まるでナイチンゲールが歌っているみたいだ。ジムは良い事を思いついた。病院の壁を攀じ登って(前からフットワークが軽い)歌声の主を見てやろうと。すると居たのは、若い少女だった。
「!」
「No、俺は不審者じゃなくて…わああっ!」
窓から落ちてしまって、痛いなあと立ち上がった瞬間――少女はクスッと笑ってジムを見た。
「貴方、面白い人ね」
「Sorry、俺は面白い人じゃなくて…俺は…あ〜、そうじゃなくて!」
すると少女のベッドのふもとに置いてある折り紙が、立派な折鶴になっている事に気付いた。
「お前のMyNameは?」
「…言えない、けど…璃緒って呼んで」
璃緒。良い名前だなとジムは思い、すると彼女は笑った。
「じゃあ、また此処に来てくれる?」
「え…?」
良いのか?と言うと、璃緒は言う。

「だって、兄だけしか話し相手しかいなかったもの!」

title:空想アリア
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