ジムがいない。
十代は不安に駆られながら学園内を探したのだが、何処にも居ない。
何処にも居ないと言う事は連れ去られたのだろう――不安げになっていた矢先に素良を見つけた。
「!十代」
「素良、ジムは何処に行ったんだ?」
「僕は知らないけど…さっき見たよ?」
何処に行ったんだ、と問いかけると彼は語る。
「そう言えば電脳サーバーにアクセスしていたらしいけど…その後の行き先は知らないよ。」
そうか、有難うと言うと十代は電脳サーバーにアクセスをした。

『ねぇ、十代!』
同じクラスメイトが十代に話し掛けて来た。十代は笑ってボール遊びをしている。だけど其れは一瞬奪われた。
少女が血を流して倒れている。犬の死骸が置いてある。自分は返り血を浴びた棒を持って立ち尽くしている。

「………何が可笑しいんだよ、俺」
あの過去を思い返すと、泣きたくなる。すると十代は一人の男が立ち尽くしている事が分かる。
「お前が遊城十代か?」
「お前、誰なんだよ!」と十代は言うと、帽子をはずす謎の男。その目に映ったのは、赤毛の男だった。
「やっぱりハラルドの言うとおりだ。6年前のあの事件に関与していた――ユベルと十代って子と同じだ」
「お前…敵か!?」

「いいや、敵なんかじゃない」

「は……?」と十代が言うと、青年は語る。
「俺はブレイブ。機密結社ヴァルハラの大幹部で――『ロキ』と呼ばれる男」
「機密結社ヴァルハラ…!?」
十代は名前だけを知っているだけだが、その名前は裏社会で有名であり、マフィアを束ねている謎の組織であった。するとブレイブと呼ばれた男は、十代に提案を持ちかける。
「ジムって言う奴、知りたいよな?まだまだ身も分からない女の子で、美少女なのに何故追われているのか、何故右京先生が彼女を連れて来たのか…。」
「っ…、誰がお前達なんかと…。其れに大体、証拠は…!」
「証拠なら有るんだよな。彼女が何故理由も分からず追われているのか。何故彼女が十代と一緒に居るのか」
するとブレイブは、十代の手を掴んだ。

「俺が真実を聞かせてやるよ」








長い夢を見ていた。
ああ、またこの夢か。
「嘘吐き」
嘘吐きの自分は、夢を見る事など許される訳が無い。
だいたいこれが、悪夢だったのなら。
自分は一体何者なんだろう?
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