指定先は――ヴァルハラ電脳サーバー競技場『アキレウス・マーグ』。電脳世界にアクセスをし、サーバーに入った。
(…此処か?)
自分はスカートの裾をキュッと締め上げ、不安ばかりが押し寄せてきた。これを差し出すと、ドン・サウザンドとダークネスが復活をする…本当に、これで良いのか。いや、学園を破壊されたら多数の死傷者が出る。其れを食い止めるためにはこれしかなかった。
かつかつ歩くと、現れたのは屈強な肉体をコートで身を隠した男だった。もみ上げが特徴的だ。
もう一人は自分と歳は変わらない…17歳ぐらいの銀髪の少年だった。スーツを着ているが、手に持っている巨大なハンマーを物騒に持っている事を除いては。
「待っていた『レオン』」
男はそう言いながら、スナイパーライフルを出した。
「…アンタ、円卓の騎士達の一人か?カレンが暴れている事に俺は少々…」
「ご名答。私の名前は『ガレス』――ラフェール」
「僕はエド・フェニックス。『ブルーノ』であって、円卓の騎士達の一人」
厄介な人物に見つかってしまった。情報によれば…ラフェールはアーサーに忠誠を誓う経歴が長いの騎士で――エドは電脳精霊を呼び出せて、自分も戦う騎士!
「まぁ、電脳コードを渡さないと痛い目を見るのは決まってお前だけだ」
エドはそう言いながら、電脳精霊を呼び出した。
「『ドレッドガイ』。デュエルアバターでありながらD・ヒーローのパワータイプ。理性は失われているけどね」
ラフェールも電脳精霊を呼び出す。
「『ガーディアン・エアトス』――私の大事なパートナーだ。ハッキング攻撃に強い。決して死なせはしない」
「――っ、やっぱり卑怯者か」
「卑怯なら、眼には目を、歯には牙を。だ――やれ!」
死を覚悟した、其の瞬間――!
「――――――待て!」
ドラゴンの咆哮が響き、三人は驚いた。姿を現したのは、プラネタリウムの様な姿をしたドラゴンと――誰もなら知っている筈であろう其の金色の姿は――。
「―――光精王『ウィルオウィスプ』の、ミザエル…!」
「私のタキオンが電脳精霊を食べたくてな…やはり円卓の騎士達か…どうりで小娘を荒々しい手段で保護するには理由があったのだな…」
「………」
「邪魔をするな!」
「邪魔などしていないさ。私はただタキオンドラゴンがお前達を餌にして食べたいらしくて来ただけだ」
ラフェールは杖銃をセットし、エドは再び身構える。
「ジム・クロコダイル・クック…」
「………What?」
「貴様にも、後に話がある」
「其れってどういう事――」
無言の手刀を受け、ジムは意識を暗転させた。
title:水葬
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