雨の中、何時も居る相棒をマフィアから助け出そうとして左目を銃で負傷して何も見えなくなった。その事は鮮明に覚えている。
何かを埋め込まれて包帯をした自分であるが、ある朝相棒が自分を見た。
彼女は自分を心配している。
雨の中、買出しに行った頃に円卓の騎士と呼ばれる『ユーウェイン』と呼ばれる男と出会った。第一発言は今にでも覚えている。

「アンタの目、綺麗であって――歪だな」

「…………」
十代が右京先生に呼ばれて校長室を出て行ってから一時間――自分は取り残された様な気がする。
大体何が世界を救う事なのだろうと思うのだが、自分は彼女を救う事しか考えていない。しかも彼女の兄から頼まれた依頼である。
…今考えたら電脳世界に入るのは不味い。確実に身元がばれて御終いだ。するとラジエルが喧しく鳴り響く。誰からだ?電話に応じようとした瞬間――その番号は知らない番号だった。

『お前が『レオン』か』

武人らしく、誇らしい声だった。急に冷や汗をかき始めた自分。まさか、まさか――。
『私の名前は『ガレス』…円卓の騎士達でありながら、アーサーに仕える身でもある。電脳コード『オリュンポス』を渡して貰おうか』
「Thit…誰がお前なんかに!」
『渡さないなら…テック学園ごと爆発する。私の電脳精霊はハッキングが得意である。だが――如何しても渡さないって言うのなら――エンコードを暴走させて爆発をする』
「……分かった、こっちに向かう。電話は切る…」
ピッ。ラジエルを切った後に、どうしても無力感が襲った。自分は無力だ――前にも、誰かを助けようとしたのに、何時も空回り。

『危ないっ!――――――っ』

「カレン――マイダーリン、行こうか」
だが、今は行かなくては、彼に迷惑をかけてしまう事となる。だから、今は行かなくてはならない。例え罵られようとも、何処へ行っていたんだと言われようとも。
バックパックを持ち、外へと出た。

「しかし、ハッキング形跡があったなんて驚いたな」
ドルベはそう言いながら、荒らされたサーバーを整理していた。つまり…電脳精霊を使った犯罪が起きてしまったらしい。
ドルベは迷惑にも程があると思い、サーバーを直していた。すると見覚えのある攻撃形跡だった。
「……これは…攻撃元『ガーディアン・エアトス』……っまさか……!」
「誰か、ミザエルを呼べ!急に話がある!」
ドルベは何かに気付き、ミザエルを呼び出した。まさかこのハッキング攻撃は――ドルベは冷や汗をかいた。

title:水葬
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