――電脳コード『オリュンポス』が消失した。

電脳世界の長達が集う神殿『アリアドネア』にて。
「…一大事になった、諸君」
そう言っているのは、眼鏡をかけている青年であった。何処か知的で神経質な性格であると思われている。彼は電脳精霊の長であるが故に、癖のある長達をまとめている。
「そんなの、一大事にならないんじゃねーの?」と褐色の青年は語る。
「一大事なんだ、アリトッ!」
バンッ!とあるはずも無い所に、腕を叩いた。あるはずも無い所がひび割れ、パラパラとガラスが割れている音がする様な気がした。
「良いか、下手をすれば電脳世界、いや――世界の危機に瀕するかもしれないんだぞ」
青年はそう言い、真っ青な顔で語る。
青年――『シルフ』のドルベはそう言い、取り返しのつかない事態になったと語った。このまま行けば戦争である。
「…質問だ」
金髪の長髪の美青年は、ドルベに質問をした。
「ミザエル…」
「つまり、オリュンポスは何者かに盗まれたってことか…?」
「其の通りだ…ああ、ミザエル!そう言う事だ!厳重に警備をしていたのに、何者かが其れを掻い潜り――コードを音も無く盗まれたのだ!」
「…」
ドルベは頭を抱えた――「ナッシュ…君が居てくれたら…」と物々語っている。
「…つまり、精霊達が危ないって事か?」とアリト。
「其の通りだ馬鹿者」とミザエル。
「ギラグはカツ丼を食べに行っているし、ベクターはサボり。メラグは探索を任されて電脳コードを必死に探している」
此処まで事態は深刻である…三人は不真面目で、こっちは一大事って言うのに…!
「…では、此処で解散!」
ドルベはそう言い、解散をした。

「…電脳コード?」
『そうだ…君がコードを盗んだんだろう?今の世界は危機に陥っている。サイボーグ改造問題、電脳世界への不正アクセス、精霊の長達への不信感…』
若い男の声が聞こえる。まだ若い少女は、携帯型デバイス『ラジエル』で男と通話していた。
『コードネーム『オーディーン』が君の事を探している。君は彼等への追っ手を掻い潜ってあのテック学園に行くんだ』
「What?理解が出来ないな…」
『こっちだって円卓の騎士達が虱潰しで我々の事を探している…だが、君なら出来る。だから――テック学園に行って、彼に協力するんだ。

―――テック学園の唯一の天才ハッキングプレイヤー…『遊城十代』に!』

ピッ。
電話は此処で切られた。
少女は車の窓を見た――此処が、テクノロジー技術が発達した街『ミッドガルド』である。
長い逃亡生活が始まる――そう確信していた。
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