燃える劣情
「朱蓮様、何でも好きな事命令してね」
私のための玉座。そこにさも当然のように腰掛けた浅葱、私を見下ろす冷めた双眸に、また、ぞくりと背中を何かが伝う。はしたなく浅葱の足元に座り込んだ私を見て浅葱がくすくすと笑っていた。
「何でも良いよ。フェラでも、バックでも、朱蓮様がしたいなら下にだってなってあげる」
口調はあくまで私の意見を尊重するかのようだ。分かっているくせに。ああでも、私からあれをせがむのはこの上ない屈辱だと、きっと浅葱は分かっている。早く早く早く、浅葱の中に入りたいと私の本能が喚く。そしてその反面焦らされる事に興奮すらしている、もう一つの欲望。
傲慢な浅葱を玉座から引き倒して、その身体を抑えつけ、豊満な乳房を弄び、柔らかな肉の中に自らの狂気を差し込む。不可能ではない。
「浅葱…」
「何?朱蓮様」
私の次の言葉はまだかと待ち詫びる浅葱。この理性と本能の瀬戸際。欲望が溢れんばかりに高ぶるこの、脳髄まで犯されたような高揚。被虐嗜好。
縛って虐げて罵って踏み付けて叩いて嬲って、狂う程酷くして。そして最後に君を犯させて欲しい。
「良いよ。朱蓮様がしてほしいなら」
浅葱がゆらりと立ち上がり私の肩を衝く。私はその力ひ任せ倒れ、次の衝撃を待った。浅葱が私に跨がる。心地好い体温と同時に頬に感じる痛み。ああ、打たれた。それもしたたかに。咥内に広がる血の味。切れた部分から血を舐め取り、それを見せるように舌をぺろりと出した。浅葱は満足げに笑う。その蔑むような目、いやらしく釣り上がる口すらたまらない!そして後でその顔を私の手で、凄惨なまでに欲にまみれた顔に塗り替えてやるのだ!沸々と体の芯から私を熱する下卑た欲望が、深紅の激情となって込み上げる。
101229