主導権にこんにちは
微かに奮えながら私の服にかかる晴矢の手をじっと見ていた。
「…やっぱりダメ」
「は?」
今日だけは絶対に駄目なのだ。これだけは譲れない。こんな時に限って下着が上下揃ってないとか、泣ける。晴矢に見られたら『ぶっ…ダッセー』とか言われるに決まってるんだから!私は薄暗い晴矢の部屋のベッドの上で雰囲気をぶち壊した挙げ句二人同時に一時停止した。晴矢はあんぐりと口を開けて「え?は?」と繰り返している。その口に指でも突っ込んでやろうかと思ったが悪いのは私な訳で。
「ごめんね、今日だけは絶対ムリ」
「あ…ああ、もっ、あっ、そうか、うん、分かった、あの、あれだろ。女子の…げっ、月経?し、しゃーねーよな」
晴矢は前に保健で習ったぜと真っ赤な顔でどもりながら呟いて、怖ず怖ずと手を引いた。本当はもっと間抜けな理由なのだけど、ここはあえてそれで通すことにして、ゆっくりと頷いた。
「…そう、か」
優しくキスを落として私の上からゆっくりと晴矢が退く。晴矢は落ち着かない様子で立ち上がり、部屋を出ようとした。
「どこいくの?」
「…え…た…トイレ…」
顔を真っ赤にしてもじもじと応えた。今日の晴矢はなんて可愛いんだろう!私の中に眠っていたサディスティックな悪戯心が目を覚ました。思春期がトイレに行くなんて理由は一つしかない。
「もう勃っちゃった?」
「ばっ、言うなよ…」
「つらい?挿れたいの?」
我ながらデリカシーのカケラも無い。それにまんまと晴矢は耳まで赤くして、俯いた。
「…ッん…!」
さあ、楽しくなってまいりました。晴矢の側まで近寄ってお腹を撫でてやると、喘ぎを噛み殺すような息が漏れている。いつもの仕返しとばかりに七分丈のズボンの中央に手を這わせた。そこは熱を持って膨張している。晴矢は苦しそうだ。
「お前…やめろよ…ッ」
「だって、晴矢に悪いから」
「んなこと…はっ、あ、ああっ…く!」
ぽろりと漏れてしまった喘ぎが相当恥ずかしかったのか、晴矢は泣きそうな顔になり、くしゃりと眉を歪めた。
「も…やめろって…」
「いいからいいから。してあげるよ」
ズボンと下着をぐいと引っ張ると半勃ちの晴矢の雄は簡単に顔を見せた。その雄の湿った先端をぱくりとくわえ、舌を絡ませる。晴矢は情けない息を断続的に漏らしながら腰を抜かし、床に座り込んだ。私は晴矢の足の間に身体を滑り込ませてフェラを続行する。裏側に舌を這わせたり、たまに甘く噛んでみたり、晴矢の好きなところは熟知している。
「く…あ、あ…っ」
「なんか、随分おっきくなったね。興奮してるの?」
「ばっ…離せ!」
先走りの滲む先端をちゅうと吸い上げると、晴矢の腰が一瞬浮いて雄から精液を放った。
「はぁ…くそ、死にてぇ…」
「出したのにまだ元気だし」
「は?…マジかよ」
一度熱を解放したにも関わらず晴矢の雄は天井を仰いでいた。
「仕方ないなぁ」
例え下着はバラバラでも、下だけ脱げば問題無い。私がスカートを下ろすと晴矢は顔を真っ赤にして、慌てて目を泳がせた。
「お前、それ、アレの日なんじゃないのかよ…」
「ごめん、嘘」
は?と目をまるくする晴矢ににっこりと微笑んでその上に跨がる。さっと血の気の引いた晴矢を見下ろして、私は騎乗位の体勢になった。やめろ、晴矢の口が動いたが、かまわず私が腰を下ろす。
「ちょ、ばかや、ろ…」
「はあ…ん…はるやぁ…」
慣らさなくても私のそこは十分濡れて解れていた。晴矢の雄がゆっくりと私の中に入ってくる。全て入る頃には抵抗していた晴矢の手もフローリングの上にあった。晴矢はイったばかりで力が入らないらしく、その代わりとばかりに私が腰を動かす。下腹に力を込めると晴矢が気持ち良さげにふにゃっと笑った。
「深緒…ッ」
「はるっ、や…はる、はるやぁ…すきぃ…」
「お、俺も…すき…」
少し身体を起こした晴矢の唇を貪りながら腰を振る。晴矢の口からは絶えず荒い息が漏れて色っぽかった。ふと私の腰の動きが緩まった時、晴矢の大きな手が私の腰を掴む。
「お前が悪いんだぞ…」
「きゃあっ、はるや、はげしっ…奥に…きてる…っ!」
私の中を刳るようにがくがくと腰を揺さ振られ、頭の中がちかちかとする。イきそうだ。
「はっ、は、ぁ…出すぜ…」
「来てっ、晴矢ぁ!あっ、あ、あ!」
私の中に晴矢の欲がぶちまけられ、入りきらなかった白濁は結合部分から溢れ出した。晴矢は肩で息をして、はー、と脱力している。私も晴矢の熱を引き抜くと晴矢の上に寝そべった。
「…なんか今日やばかった」
「Mに目覚めた?」
「や…たまには下も良いな…」
指と素足を絡めてどちらからともなく微笑んだ。
この後晴矢に下着がバラバラだっただけとバレて怒られるのは言うまでもない。
100921