「善法寺、目から水がとまらない」
「へ?」
「朝からぼーとするし息苦しい」
「えーとカゼかな?」
「知らん」


口元を押さえ一晩中泣き明かしたかのように目元を真っ赤に染め普段から兎のような赤い目をしていると思っていたそれが一層本物に近付いたような、むしろコレは充血なのではと思わせる表情をしているなまえが保健室の戸を開けた事に伊作は内心驚いた。


ここにはめったに来ないのに。


ゔぅと本当に苦しそうにするものだから、あぁこの人もちゃんと人間だったんだなどと本人に言ったのならそれこそ人間にならざる行動に出られ何をされるか分からないので口にしないようにする。当たり前だ普段どれほど酷い怪我をしようと顔色一つ変えないし色事のいの字にも無反応な彼が、今唸っている。片方の目は髪に隠れていて見えはしないが、隠れていない方のこちらを見ているはずであろう目は視線が合っていない。本当に具合が悪いのか、



「なまえそっちじゃないよ」
「ん、」


保健室に足をいれたかと思うと早々私の居る所に近付きそこで止まるのかと思いきやそのまま横を通り過ぎる物だから慌てて声をかける。危なく薬草棚にぶつかるところだった。はたしてその目は見えているのだろうか、危なっかしいと言う理由で手を引けば大人しく横に座ってくれた事にこれまた私は驚いてしまった。何時もなら触るなと振り払われてしまうと言うのに。


「どうしたの?らしくないね」
「う、うるさい、いいからはやくどうにかしろ」
「はいはい。熱は?」
「しらん、」
「そうじゃちょとごめんね」
「、っ」



本当に今日のこの子は一体どうしたと言うんだろう、握った手は微熱よりちょっと高いくらいだけど本人が分からないとなるとこっちが調べないといけないからね。そっと繋いでいた手を離しおでこに当てるとやっぱりちょと体温が高いみたいだ。ふむ。そうなるとやっぱり風邪だろうか。


「なに、見てんだよ、」
「あぁ、ごめんね。」


はたしてこの人は風邪を引くのだろうかと不思議に思っていたらどうやら顔を見つめてしまっていたらし、居心地が悪いと顔を押された。いやいや、そういう返しかたは無いんじゃないかな。


しかしまぁ何というか、まだ涙が止まらないようだし顔をもほんのりピンク色をしていて、一歩間違えればエロいなと思ってしまう。おまけに息苦しいのだとひっと押し殺したような呼吸をされたらたまったものじゃない。まさか、これは。ちらりと彼の顔を見やればまた視点が合っていなく斜め下を向いてしまってる。チャンスかもしれないとその視点が合う前にそっと彼の脚元へと手を伸ばし軽く撫でてみた。


「んうぁあっ!」


しまった。と口を押さえるには既に遅く、触った瞬間に出てしまった声は静かな保健室に響いてしまった。幸い今日は課外授業やらが重なっている学年が多く委員会活動は休みなためこの部屋には今私となまえだけ。誰もいなくて良かった。と思うと同時に今目の前にいる恐らく状況を全く理解していないだろう彼をどうしてあげようかと心の中から黒い物が湧き出てくる感じに私はゾクゾクしてしまう。クスと自然と出た笑いにギッと睨みを利かせこちらを見てくるが、畜生今の君の表情じゃあ逆効果だよ。


「てめぇ、なにすんだよ」
「何ってナニ?」
「ふざけんな!」
「大真面目なんだけどなぁー」


残念と笑えば顔を赤くして対抗してくる。こんなにも焦っている彼を見るのは初めてだから余計に興奮してしまう。私は彼をそういう気持ちで意識してしまっていたのだろうか。普段は絶対しないような態度を可愛いと思うあたり違うとは言い切れないみたいだ。しかし困った。まさかとは思ったけれど、一つの考えがどんぴしゃで当たってしまっているとは。本当ならアレは一つ下の学年である豆腐小僧の口に入る事になっている予定ではなかっただろうか。学年は下であるが同い年である忍びを目指しているにはやたら髪色のハデな(元髪結いだからしかたない)子に頼まれて自分が作ったもので効果などは全て把握しているが。


「一体どうゆう経由で、」
「あ?」
「いや、こっちの話だよ」
「そ、れより。なおせんのか、?じゃなきゃ、ほか、あた、るっ」
「あぁ大丈夫。今なおしてあげるから」


大人しくしてて。と言えば腑に落ちないといった態度をする。しかしまぁ、理由は何であれこの子がアレに毒されてしまったのなら解毒してあげないといけないだろう。何せ作ったのは私なのだから此方にも否はあるし、まさかこういった形で自分の作品の効果を試すことになるとは思ってもいなかったけれど。何はともあれ、他なんて冗談じゃない誰が渡してなるもんか。こんなにも美味しそうな仔うさぎがわざわざ他の誰でもない私を頼って来てくれたのだから理由は分かっていないにしろ、治すのに変わりはないのだからしないでどうする。


「な!おい、何して」
「いいから大人しくしてて、じゃなきゃなおしてあげないよ?いいのかな、そんな顔で外を歩いたら変な噂とか流れるんじゃない、6年で一番成績優秀その上周りから一線置いてる一匹狼の撫子さんが女にふられて泣いて歩いてたとか言われても」
「、」


しゅるりと腰の紐を解くとそれに驚いたのか声を上げて慌てて私の手を退けようとする。それが煩わしくてワザと虐めるような言葉を選ぶ。あぁ、そんな予想道理な反応しないでよ。もっといじめたくなるじゃない。


「嘘だよ。いいから私にまかせて気持ちよくしてあげるから」
「は?え、ちょっ」


手際よく袴と褌を奪い取って露わになったそれを口に加える。ピチャリとワザと音を立てと舐めてやるとビクと反応するも抵抗の言葉が無いのはさっきの脅しがきいたのだろう。次に何を言われるのか怖がっているのが丸解り。一匹狼だのなんだと言われてると言うけれどそれは6年の間のみの話で、それ以外の学年とはわりと普通な関係であるらしい。とくに5年はこの子に依存仕切ってしまっている。何かとなまえ先輩なまえ先輩と寄ってたかって、それが妙に腹立たしい。思い出しただけでイライラする。


「いっ!」
「んっちゅっ…はぁごめんね、痛かった?」
「うぇ、べつに」
「強がり」


わざと歯を立てたのだから痛くない筈がないだろうに。ムッと眉間にしわが寄るのが分かるけどまた口に含んでやれば今度は声を出さないためか口に手を当ていやいやと首を振る仕草をする。


「やっ、てめぇ、まじやめっ」
「大丈夫気持ちよくなってくるから」
「んぁ、んん、ふぅっ、」
「ふぁ、ほんりゃにゃてきりゃ」
「なっ、しゃべっ!あぁっ」


声が聞きたいと言うに何時までも抑えられて曇ったままでは面白くない、頬張ったまま話してやれば耐えられないと言った感じに声を上げてきた。思った通りだ。色事には興味ないのかと思っていだけど、どうやら違ったらしい。興味がないと言うよりは恥ずかしがっているだけで、泣いていたのも苦しくてたまらなかったからだろうか。現に言葉とは真逆に彼の身体はビクビクと大きな反応を見せている。


「あ、ぁ、」
「ふふ、気持ちいいの?」
「や、ちがぁ」
「嘘こんな風にぐしょぐしょにして言っても説得力ないよ私が舐めてあげたのもあるけどもここにくる前からけっこう辛かったでしょ、あぁ分からないか。こんなになっても放置してたんだもんね、やり方分からない訳じゃないでしょうに。」
「え、や、」



耳元で囁けばもうやめろと肩を押してくるがその手に力なんてあるはずもなく、最早体に力なんて残っていないのだろう。だってこんなにも簡単にあの彼を抱きしめて耳元を噛んでやることだってできるのだから。ねぇ、君が今どんな顔してるかわかってる?涙と明き放しの口元から垂れる唾液が顎を伝って、下の方は私の唾液と君の熱が混ざり合っていて。今の君をあの子達が見たらどう思うかな?殺気立てて襲ってくるかもしれないなぁ。そう囁けばそれだけはやだ!っと腕の中で暴れると言っても今の私からしたら抵抗にも満たないけど。あぁやっぱりだ。私はこの子が愛おしい。こんな風に泣いてる姿は特にもっと虐めてもっともっと酷いことをしたくなる。もういいよね?何だかんだ6年もその箱に鍵をかけて決して開かないようにしまっておいたんだから。この気持ちと一緒に。


「ぜん、ぽうじぃ」
「なに?」
「くるしっくるひぃ、あついし、いたい」
「うん」
「なおひて、くれんらねーの、」


あぁほらまたそう言う顔をするなんて、反則だよ。薬の効果が最大に利いてきたみたで、呂律が回らなくなった舌でなんとか訴えてくる目は既に虚ろで、はぁはぁとする息使いは苦しそうなまま、服を掴む手は弱々しく震えていて今の彼ならこの私でも簡単に押し倒すことができる。頼まれた時は媚薬なんてと思っていたけれどこうなるならもっと前に使っておけばよかった。ふふ。大丈夫。今すぐ楽にしてあげるから。




食べられた仔羊


(善法寺先輩、なまえ先輩返してください)
(何でボクに言うの?)
(全部知ってんだよ!)
(八止めな、先輩いい加減にしないと私達本気でキレますよ)
(それは怖いなでも)

((彼は絶対渡さない))






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