ここ何処だ?

ニホン、いやちょっと違う。まぁ街てか建物やら人やらは以前お菊に連れてきてもらった時に見たニホンの風景とあまり変わらないのだが雰囲気と言いますか、空気と言いますか兎に角何かが違う。

あまりに一瞬過ぎてすぐ理解できなかったのだが、急に意識が飛んで次に目が覚めた時には何故か自分は交差点の真ん中に立っていて、点滅する信号に慌てて人の流れに合わせて歩道へと渡った。あと一歩反応が遅れていたらあの車の行列に繰り返し踏みつぶされていたに違いない。そんな話はさておき困った、ここがどこか分からないのではどうすることもできない。行く宛はあれどニホンの地理がどうにも思い出せないのでどう進めば目的地につくのか分からない。それに最近のニホン人は成長しているのか以前来たときは周りから比べ頭一個半分飛び出ていた身長で周りから珍しい物でも見るかのようにジロジロと見られていたと言うのに。(あれはあまりいい気分では無かった、限に人酔いいや日本人酔い?したくらいである)今はむしろ同じ目線の人が増えた気がする。それでも時折視線を感じるのはやっぱり珍しいからだろうか。

しかし本当に困った、持っているスマホを見るもさっきも今も電波が圏外。こんな事があっていいのだろうか?最近のニホンは電気文化が進んできたんじゃなかったのかお菊さんや。電波一本どころかどこに移動しても圏外、むしろ圏外のアイコンすら点滅し始めているのですが。私はどうしたらいいですか?周りを見るも知らない建物ばかりでコウバンもそれらしきケイビイインさんも見つからない。今更だけれど、あれここ本当ニホンじゃないの?


あーうーしくった、こうなるんだったらもっとニホンの地理について勉強しておくべきだったか。仕事だなんだと自国に引きこもっていた自分を恨みたい気持ちでいっぱいだ。いくら仕事だとしてもせめて兄貴や可愛い弟から聞くとかしてお菊の家くらいは完璧に把握しておくべきだったね。
はぁ、参った。誰か他に観光に来てる人いねーかな、できればこう、あれです。うん。えー猫の散歩途中のヘラくん当たりが望ましいです。はい。




(飛び交うガヤガヤは聞き慣れない音ばかりで、

どこを歩いても見慣れない景色ばかりで、

こんな空気は久しぶりだなぁーと暢気なことを考えていた)


いつもの風景が変わった瞬間


いや、まぁ本当はそれどころじゃ無いんだけれどね。




私がいなくなった事に愛しい愛しい兄弟達は気付いてくれているだろうか。



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テーマ「人外ファンタジー」
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