ヒーローのはなし | ナノ


▼ くりかえしている理由を考えてみる話

標題の通りそもそも論である。

あの子が死ぬとか死なないとか、原因はなんであれなぜ自分が繰り返すのかの謎は今の今まで解明されていない。(というかまともに考えてもいない)

あの子が死んでしまうのが原因だというのなら、あの子が死ななければこのループは終わるのだろうか?
いやむしろ、あの子が原因というのは確かなのか?
何度も繰り返した中で唯一あの子が死ぬことが変わらなかっただけで、本当は別のことが原因なのではないか?

自問自答を繰り返したところでなにも結論は出ない。

「お前はどう思いますかコロマルくんや」

アルビノ種の柴犬に問いかけても、もっと撫でろとばかりに鼻先を押し付けてくるだけで答えなんかわかりゃしない。
やれやれと立ち上がりまた明日ねと声をかければ、コロマルはワンと元気よく吠えた。

コロマルのことはあの子も知っているみたいで、時たま一緒にいるのを見たことがあるというのを聞いたので自分もコロマルと遊んでいれば接触できるかと思った。
接触できてないけどね。
そんなことより、アニマルテラピーが最高すぎる。
コロマルが1匹で尻尾を降っているのを見ると、なんだお前だけかという気持ちより「きょうもあそぼーねー!」という気持ちの方が勝ってきた。
目的と手段がひっくり返っているのは百も承知。
だってコロマルかわいいんだもの。

話が逸れた。
あの子云々とは別に、なぜ自分がくりかえしているのかである。

そもそも1番最初の自分の人生を思い出してみるが、これと言って特別なことをした覚えは本当にない。
本当に本当にない。
クラスで1番を取ったとか、恋人がめちゃめちゃ人気者だったとか、ありえない。
むしろその辺は全部あの子の所業だった。

うーーん。
わからんなぁ。
自分に非が無いとすれば、自分以外の何かに非があるとしか思えないけれど。

もういっそ、あの子に接触しようとするのをやめてみる?
繰り返し始めてそろそろ△×回目くらいになるが、ここまで接触できないのはもう接触しようとするのが間違っているからな気もしてきた。

正直全然知らない相手のために色々と頭を捻るのも嫌になってきている。
あの子の存在だって自分が一方的に知っているだけであって、あの子はこっちのことなんかちっとも知らないんだろう。

なんだか腹が立ってきた。
(もしかしたら)お前のせいかもしれないのにー!

腹が立つとお腹がすく。
お腹がすいているから腹が立つ。

よし、ポロニアンモールでたこ焼きでもたーべよ。



そう意気揚々と1歩踏み出せば、突然騒然となる周囲の人々とけたたましいサイレンの音。

もしかしたら、爪で黒板を引っ掻くような嫌なブレーキ音も聞こえたかもしれない。

身体は動かなくて、地面は冷たくて、赤い。
あれ?赤い。

これ、私だ。

ちくしょう。
またさいしょからだ。



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