ヒーローのはなし | ナノ


▼ くりかえしても何もはじまらない話 そのさん


なんだかよくわからないが、自分はどうやら最近あの子の死にこだわっているらしい。

生かそうとか、死なせまいとかではなく、あの子が死ぬという現象に対しての興味だ。
何にせよ、目下の目標はあの子に接触することだ!
(まだ接触できていないとか信じたくない)


前回真田先輩を非常に悲しませてしまった(と思う)ので、風花ちゃん同様引き続き交流をしつつ、また別の人にターゲットを変えてみる。


今回は生徒会長さんだ。
何巡もしたおかげでそれなりに知識もあり学力もごまかせていた。
(何度も同じ問題を解いているからね)
たぶんループがなかったら話しかけてもあしらわれて終わりだったと思う。
生徒会長さん改め、美鶴さんはとてもまっすぐな人だった。
曲がったことが嫌いだし、期待されたらそれに応えようと努力のできる人だった。

時々あまりにもまっすぐだから、何度繰り返してもねじ曲がっている自分の性根が恥ずかしくてまぶしくて、一緒にいると苦しくなることもあった。

それでも美鶴さんは、自分とまっすぐ向き合ってくれた。
嬉しかった。


次に学年のマドンナゆかりちゃん、その次にショタの天田君、その次にあの子と同じクラスの順平と、どんどんみんなと仲良くなっていった。

みんな一癖あって、でも優しくて、悩んでて、素敵な人たちだった。

そんな素敵な人たちに囲まれているのに、あの子は何度でも卒業式の日に屋上で死んだ。

そして、自分もあの子に接触はできなかった。




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