煌めきはあなたの為


「す、こし、ねむる、ね…」


ふわりと微笑んで、ゆっくりと瞼が閉じた。
頬に添えられていた手がだらりと血溜まりに落ちた。
血に濡れた名前の身体が腕の中でずっしりと重くなると寒くもないのにガタガタと自分の身体が震え出す。

嫌だ。死ぬな。俺を置いて行くの?
約束したじゃん。
俺が死ぬまで死なないって。
俺が死ぬときに一緒に死んでくれるって。
反転させた呪力を名前に流すも俺には人を治せない。分かってる。それでもこの現実を何とかしたかった。
顔を上げて硝子を見ても泣きながら首を振るだけだった。
傑を助けてくれたんだろ?ありがとな。でも…オマエもいなきゃ意味ないんだよ。
なんで。こんなに血塗れになってんの。
一生に一度の俺の願いくらい聞けよ。

「五条…もう……」

何がもう、だよ。
名前は少し眠るって言ったんだ。

光に当たるとピンク色にキラキラ輝いていたプラチナブロンドの髪は地面に垂れて血溜まりに沈んでいる。
段々とドス黒く染まっていくそれを見ていると自分の心もそうなって行く様だった。

「っ悟!!駄目だ…お願いだ…」

ぎゅっと背後から傑に抱き付かれて練り上げた呪力が散った。
まさか名前が先に死ぬなんて思っても見なかったからさ、どうしていいか分かんねぇんだよ。
俺が死んだら死んでくれるんだから、名前が死ぬのなら俺も死んでいいだろ?
オマエがいないと俺に何の価値もないんだ。
この世界なんて如何でもいい。
俺は名前がいない世界ならいらない。

「なぁ、少しってどんくらい?」

「俺そんな待てないよ。知ってるだろ、短気だって」

「…名前、起きて?」

涙でぐしゃぐしゃの視界で名前の唇にそっと口付けた。
あ、れ?
触れた唇から、抱き締めた手から、名前に呪力が流れて身体から力が徐々に抜けて行く。
嬉しい、俺も連れてってくれんの?
オマエと一緒なら俺は何処でも着いて行くよ。

「名前…あい、してる……」

愛しい名前。次は呪力も呪霊もなくて、家とかも関係ない世界で出会おう。
また一緒に産まれて来たいけど、名前が気にするなら次は他人でもいいよ。
どうせ家族になるんだからさ。
名前が名前である限り俺はいつだって愛してる。ずっと一緒だよ。


遠ざかって行く意識の中で名前が優しく抱き締めてくれた気がした。



  
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