始まりの1ページ


少年は、電車に乗った。
特急電車に乗れば半分の時間で済む距離を、彼は普通電車でゆっくりと過ごすことにした。
平日の昼過ぎ、そんなに混んでないシートに腰を下ろして、背中に掛けた鞄から赤いノートとボールペンを取り出した。

少年は少し思案してから、その新しいページに丁寧に文字を書き込んだ。

『始まりの1ページ』

それを正確な長方形で囲んで、彼は窓の外を見た。
電車が線路を走る音だけが響き、町並みが静かに流れている。
間もなく終点のアナウンスが放送される。少年は大きく息を吐き出してボールペンをノートに挟み込み、鞄を背中に掛けてホームに降り立った。


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