成人の憂鬱


テレビで成人式のニュースが流れた。私が成人したのは去年のこと。

二十歳の誕生日。「嬉しい」よりも、「ああついに成人してしまったのだ」という想いの方が強かった。
そもそも私にとって誕生日とは嬉しいものではない。私は自分が大嫌いだから、いつにも増してしみじみと後悔する日に過ぎない。そういう意味では「特別」な日だけども。
とにかくよくもまあずるずると二十年間生きて来たものだ。そんな感覚だった。


似合わない振袖を着て成人式に行った。全ては親のため。世間体のため。
本当は行きたくなかった。「友達」よりも「敵」の方が多いし、人込みは苦手だ。
旧友との再会、恩師からのビデオレター。沸き立つ会場とは裏腹に、私はひたすら退屈していた。

思い出なんてない。嫌なことばかり思い出してしまうから思い出したくはない。
歓喜の声を挙げる彼らはきっと良い学園生活を送っていたのだろう。

当時も、そして今この瞬間も。同じ空間にいて、私と彼らはどうしてこうも違うのか。暗い自分の人生に嫌気がさす。

賑わしい空気の中で、私は自分の歩んで来た過去を思い出していた。


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