嫌われ者の言い訳


私は人を怒らせるのが怖い。
怒らせることが楽しい人間の方がごく稀だと言われるだろうが、そういうことではない。異常な恐怖を感じるのだ。

冷たい目を向けられるだけで身体が硬直する。少し語調が強くなるだけでサッと血の気が引く。怒鳴られでもしようものなら自然に涙が溢れて来る。

怒られることに慣れてないのだ。怒られないように必死に「いい子」で生きて来たから。
言うことを聞いていれば怒られない。なのに世間はいつでも判断を求めて来て、どちらを選んでも怒られる。

私は嫌われるのが怖いのだ。私には好かれる所がないから、せめて嫌われないように必死になっている。
だけど私は嫌な奴で、からっぽで、結局嫌われる。
誰とも関わらなければ嫌われることはない。でも誰とも関わらなければ怒られる。

私が楽に過ごすためにはどうすればいいのだろうか。
私のような嫌われ者が楽に過ごそうとすることが間違っているのかもしれない。


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