2024/06/29(土) 20:59 #感想文

昔話をパロディーしたミステリー短編集。
数年前に読んだ『むかしむかしあるところに、死体がありました。』が面白くて新刊出る度にシリーズ増えてるな〜読みたいな〜とは思ってたのですがやっと手を付けました。
昔話ならではというか、登場人物や道具のファンタジー設定をうまく生かしたトリックが面白くて大好きです。
『むかしむかし〜』から始まる日本昔話シリーズと『赤ずきんちゃん〜』から始まる西洋童話シリーズがあるんですが、やっぱり日本の昔話制覇してから…という気分でこれにしました。
あとで見たらこれ日本昔話シリーズ3作目にして完結編らしいですね。『やっぱり死体がありました。』を見逃してました。また読もう。


『こぶとり奇譚』
こぶとり爺さんパロディー。
これ面白かったです…!そうだよこれこれ!って感じなのでこれだけでも読んでほしい。犯人やトリックもあれこれ考えながら楽しく読んだんですけど最後の最後でそういうことだったのか…!ってもう一回読んじゃいました。


『陰陽師、耳なし芳一に出会う。』
耳なし芳一パロディー。
勝ち気で天才肌の女陰陽師・桃花…。いい…。
これも「経文を生きてる人間の全身に書いたら亡霊から見えなくなるが、死体に書いても効果はない」みたいな設定があった上での謎解きなのでフィクション振り切っててゲームや漫画的な楽しさがあるんですよね…。証拠集めるのも式神使ったりするし…。幻想見せて証拠にするシーンあるんですけどそれは術者のさじ加減なのでは…と思わんでもない。


『女か、雀か、虎か』
舌切り雀パロディー。
女、雀、虎がそれぞれ描かれたつづらのうちどれを選ぶかによって物語が変わるパラレルワールド的な話?
若干違いはあれど結局たどり着く結局は同じ、みたいなリトライ系でよくあるやつかな?と思ったのですが、雀はともかく女と虎の絵は結局何の意味があったんだ…と思って調べたら『女か、虎か』っていう有名な短編小説があるらしいですね。それのパロディーでもあったのか…。知識不足でした。
いじわるばあさんは強欲過ぎるし正直じいさんも正直すぎてちょっとクレイジーで笑った。自分の気持ちに正直過ぎて、柿食いてえ!と思ったら人んちの柿勝手に食っちゃうじいさんですよ…。ロックですね。


『三年安楽椅子太郎』
『金太郎城殺人事件』
三年寝太郎と金太郎のパロディー。まさかの連作でした。
『三年安楽椅子太郎』は文字通り安楽椅子探偵な太郎さんがさまざまな事件を解決するのですが、『金太郎城殺人事件』ではほぼ出てこないどころか一つも謎を解いてないという。裏切られたぜ…(笑)
『金太郎城殺人事件』どんどん残虐になっていく上に後味悪い終わりなんですけど、『むかしむかしあるところに、死体がありました。』も最後の話そんな感じですごい印象に残ってるので(桃太郎パロディーというのもありますが…)、最後の話はそういう重めの話を持ってくるようにしてるのかしら。2作しか読んでないのでわからないですけど。
他のシリーズも楽しみです。
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