わたしの目は正しく世界を映さない。

ぶれる輪郭は物の形を曖昧にして、その存在を有耶無耶にする。
わたしにとって、見えるだけの世界は不確かでしかない。触れて、近づいて、それでようやく、わたしは世界を認識できる。

「乱太郎は、手ぇ繋ぐの好きだよなあ」
「ふふ、そうだね」

きりちゃんの手をぎゅ、と握る。眼鏡で幾分か補正はできても、やはり見えるだけの世界は不確かなのだ。触れて、近づいて、そうしてようやく安心する。存在を理解できる。

「こうしてるうちは、きりちゃんがここに居るってわかるから」

言えば、きりちゃんはばっかじゃねえのと言ってそっぽを向いた。

耳が赤いかはわかんないけど、きりちゃんの手があっついのは、わたしにもわかるよ。


/それは確かな愛になる

タイトルバイ喘息