みんな口を揃えて冬は嫌いだというけれど、わたしは案外と冬がすきだったりする。しんと冷えた空気はつんと鼻が痛くなるけど、夏の濁った空気よりもやっぱりすきだ。

はあ、と息を吐くと室内なのに白く濁った。昨日は随分と空が荒れていたから、明日辺りに雪でも降るかもしれない。そんなことを考えながら、もう一度はあ、と息を吐いた。武器の手入れをしている長次の手元を照らす蝋燭がゆらりと揺れる。夏は暑くて鬱陶しいあの灯りも、冬になると途端に愛しくなるものだ。わたしはぼんやりと、赤い炎が揺れるのを見つめた。

2012125
長次と小平太