ちゅ、と軽い音をたてて、重ねていた唇を離した。うっすらと目をあけると、いつもよりも近い位置に赤司の顔があってどきりとする。

所謂、初キス。
心臓がうるさい。赤司の肩に置いた手のひらには、尋常じゃない量の汗をかいていた。
俺は、今、すごい幸せだけど。赤司はどう思ってんのかな。


「…あまり、見ないでくれるかい」

じい、と見つめていたら、いつの間にか赤司が伏し目がちに目をあけていた。その顔はうっすらと赤い。え、嘘。あの赤司が。

もっと余裕綽々なのかと思っていた。キスぐらい、何でもないのかと。俺ばっかり、どきどきしてんのかと思った、のに。


(…その反応は反則でしょ!?)

衝動のままぎゅう、と赤司のことを抱き締める。自分の心臓の音と、それと同じくらい赤司の心臓の音が聞こえた。ああ、なんだ。赤司もおんなじだったのか。

バスケがすっごい上手くて強くて、ちょっと行動がとんでもなかったりするけど。それを除けば赤司も俺とおんなじ高校生なんだ。バスケが好きで、好きな子の前ではちょっと緊張して、どきどきする。

「ふふ、」

なんでもないようなこの事実が、嬉しくて嬉しくて口角が緩む。気持ち悪いよ降旗、と呟く赤司の耳は赤い。かわいい。

「ね、赤司」
「なんだい」
「もっかいしてもいい?」

こしょこしょと耳元で囁いたら、調子に乗らないでくれるかい、と小突かれた。なかなか痛い。

それでもそっと目を閉じてくれる赤司がかわいいので、痛む脇腹などお構い無しに、二度目のキスをした。


/貴方と同じ呼吸がこんなにもいとおしい