#04「初めての赤」

自分が自分で無いみたで、目に見えない何かに惑わされる感覚が真田にはあった。
それが何かは全く分かることもなく、ただ修行が足りていない。自分はたるんでいる。そう思うだけだった。休み時間の時の幸村は「気にしなくて良いよ」と言っていたが、素直にそう思えるわけでもなく、配慮が足りていなかったと反省していた。

放課後の図書館。少し落ち着かない真田は勉強道具を広げ、問題集を進めていた。今夜は家に甥の佐助が来ていて勉強する雰囲気ではないと悟り、閉館時間まで居ることに決めた。


「先輩、お疲れ様です」
「・・・!あぁ、中山か。借り物か?」
「いえ。この前薦められた本を返しに来たら、先輩の姿があったので声かけてみただけなんです」

「栞、行くよ」

少し離れたところで幸村の声がした。それに気が付いた栞は「では、また」と言い残して去っていく。そんな姿をボーッと見ていた柳が声をかける。

「弦一郎もそんな風に微笑むんだな」

そんなはずはないと柳を見ては、また問題集に目を向けた。スラスラと問題を解く手は止まらない。それは、常日頃から勉強を怠ることのない姿そのものだった。柳が空いた前の席に座っても、真田は一度も見ようとしない。

「中山栞」
「・・・」
「何も思っていなければそれでいい」

その言葉は何を意味しているのか。柳が不確かなことに突っ込んではこない事は分かっている。しかし、それは真田が栞に対して何か思っている事があるんじゃないかと質問されている様にも聞こえた。柳が帰った後、オレンジ色の差し込む窓の向こうを見ながら、目に見えない何かは栞が関係しているのか考えると少し胸がざわついた。



「さっき真田がいたの?」
「うん、挨拶だけ」
「そういえば、土曜日も会ったんだってね」

思い出した様に「そうそう、あのね」と栞は、土曜日の朝のことを話し始めた。幸村は学校で聞いた話と合っているか、相槌を打ちながら確かめる。嘘をつくこともなく、甘味処に真田と訪れたことも話し「あんみつが凄く美味しかったんだよ!次のオフにでも行こうね」と誘う姿はとても愛おしい。
部屋に着くと直ぐに荷物を置き、幸村は息を吐きながらベッドに腰掛ける。

「どうしたの?具合でも悪い?」
「ううん」
「・・・・・。でも具合悪そう、お水でも」
「要らないよ。ねえ、栞は俺に嫉妬する?」

幸村の目が冷たい様な感じがした。直ぐに幸村が嫉妬していると分かり、それが真田との事だということも分かった。どんな理由であれ、あれはデートそのものの様で「ごめん」と言うが、嫉妬するかどうか聞いている幸村は無言。

「俺から離れないで」

そうポツリと呟いて、栞を引っ張り押し倒す。それが一瞬の出来事で驚いているうちに、唇を塞がれ舌で犯される。それに何とか食らいつき応えようとする。

「・・ん、ぁ・・・せ、いぃ」
「少しは上手くなった?」
「そ、そん・・な・・・ぁ!」

少しはだけたスカートから出す、薄ら血管が浮いた太腿もスッと撫でられ、際どいところを往復される。キスに夢中になりながら、身体はどんどん火照っていく。シャツのボタンに手がかけられ1つ、また1つ外されていき栞の胸が露わになる。「綺麗だよ」と先の蕾に口を当てられては、甘い声が部屋に響いていた。

「あぁ、ぁ・・いゃ・・・精ぃ・・ち」

初めての行為に幸村の肩に手を添え、甘く痺れる様な感覚に耐えていた。片手が下へ伸びていきスカートを巡り、ショーツの上から筋にそって指を這わせると、栞もわかるほどグッショリ濡れている。これ以上は汚れてしまうからとショーツを脱がせ、纏っているもの全てを脱がしていく。部屋のカーテンは閉め切っているものの薄らと差し込む光で、お互いの表情等は分かる。

「ぁ・・精市・・恥ずかしいよ・・・」
「もっと見せてよ。俺が知らない栞の姿をさ」

細くて綺麗な指が栞の中へ入っていき、充分に濡れている部分からは水音が鳴り出す。慣れない異物にどこか感じてしまう自分が恥ずかしくて、そこから逃れようとすると腰を掴まれ阻止される。

「あ!ぁあ・・っ・・・・ん、あ!!!」

幸村はニヤッとして「ここが良いの?」と、指を2本に増やされポイントをリズミカルに押される。暫くすると栞は声にならない様な声を上げて、ビクビクと身体を震わせた。自分の身体がどうなっていたのか、ボーッとしていると「少し暑いね・・」と、幸村はネクタイもシャツも、ズボンも下着も全て脱ぎ捨て再び栞に覆いかぶさった。

「はぁ・・・っ・せ、いいち?」
「栞、俺のこと好き?」

返事を聞く前にグッと質量のあるモノが、まだ慣れていない小さく狭い部分に入っていく。「痛っ」と身体が裂けていくような感覚に目を瞑り、思わず幸村の背中に手を回し爪を立てた。「ねぇ、応えてよ」と、少しずつ動かされる。

「ぁ・・あぁ、ん!・・・っぁ・や・・・」

まだ快感だと分からない栞は身体に従うまま、だらしなく口を開け喘ぐばかり。その間も唇を重ね、ピンと立った胸の蕾を摘み「ねぇ・・・・早く」と耳元で囁く。それさえにも身体が感じてしまう。

「あぁあ!・・ちょっ、と・・ぁ・・・あ!!あぁ」
「耳でも感じちゃうの?っ・・ここ、良いんでしょ」

離れようと幸村の胸に手を当てて押そうとするが、微動だにしない。それに反して更に押し込められた幸村のそれは、これまでに無かった感覚を栞に教えた。お互い汗ばみ、この行為のことしか考えられない。少し体勢を変えて打ち付けるスピードが徐々に早くなっていく。

「あ!ぁっ・・あぁ・・あ!ゃ・・あん」
「っ・・はぁ、栞」
「ゃ・・せ、い・・んっぁあ!あっ・・ぁあ・・・んっ!ぁぁああ!」
「っ・・・!!」

頭の中が真っ白になる。
栞から引き抜くと、赤い血が愛液と混ざりシーツを汚す。まだ頭がボーッとして身体が動かせない栞に薄い毛布をかけ、そっと抱きしめる。

「栞、大丈夫?」
「うん・・・。でも、もう少し横になっていたい」

目を瞑った。行為後の香りと幸村の香りに包まれて、ウトウトしていた。意識が遠のいていくなか、微かに「離さないよ」と聞こえた様な気がした。

一瞬で眠りにつく栞の頭に手をのせ、髪を撫でる。幼い頃から一緒に遊んでいた頃を思い出していた。誰にでも優しくて、少し泣き虫な栞。
幼い栞が中学に上がり、少しずつ女性へと変わっていく姿を近くで見て、ずっと側に置いておきたいと思った。それまで付き合っていた彼女とも別れ栞だけを見ていた。試合にも良く観にきてくれて嬉しかったが、部員達とも顔見知りになっていく様子に不安を覚えた。もしかしたら誰かと付き合って、そのまま結婚もしてしまうんじゃないかと。
幼馴染の栞に対して、誰とも話して欲しくないと思う自分が情けないと思ったこともある。



恋人同士になれば、それが少し和らぐと思っていた。




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