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恋のカクテル




陸遜……、と周瑜は小さく息を吐く。呆れにも取れるそれは熱を帯びていて、より陸遜の感情を昂らせた。
机に背中を預けている彼は陸遜が覆い被さっているため、上手く身動きが取れない。突然、陸遜に押し倒されたために何も抵抗できずにこの状態である。
陸遜はくすりと小さく笑い、周瑜の唇に指を触れた。触れるか触れないかの微妙な距離がもどかしいのか、周瑜はぴくりと身体を震わせる。
その一つ一つの反応がどれも色っぽくて、陸遜もまた感嘆にも似た息を吐いた。



「周瑜殿……邪魔なので外しましょうか」



そっと、眼鏡を取り外す。仕事の時に着用している眼鏡は、周瑜をより知的に見せる。
そんな彼も大好きなのだが、眼鏡が二人の距離を遮っているように思えてしまうために、素直に受け入れることが出来ないでいた。
今もそうで、仕事が終わり、客のいなくなったのを見計らって接近したので、当たり前だが眼鏡を掛けていた。
周瑜は少し戸惑いながら小さく口を開く。それを見逃さず、陸遜は唇を奪った。
抵抗を見せないところを見ると、あまり嫌ではないらしい。くぐもった声は次第と艶を帯びていき、くちゅ、と舌を絡ませ合う。
暫く水音が響き合う中、陸遜はぎゅっと周瑜の指に触れる。細くて繊細な指はそのまま陸遜の指と絡み合い、お互い握り締める。



「……どうしたんだ、いきなり…………」



漸く唇を離した陸遜に、周瑜は乱れた息を整えながら尋ねる。
本当に突然、突然の行動だったからだろう。周瑜は困惑した表情を隠しきれていない。
陸遜は小さく笑い、外した眼鏡を自分に掛ける。周瑜とはまた違う整った顔は、照明を背にしているのと眼鏡の影響のせいでより暗く感じさせる。
そして、陸遜はゆっくりと周瑜の髪を耳にかけながら呟いた。



「……あまり、お客様と仲良くしないでください」



見ていると辛くなるんです、と無表情で続ける。
しょうがないだろうと周瑜は言いたかったが、僅かにでも感じてしまった罪悪感がそれをさせなかった。
きっと、自分でも分かっていたのだろう。最近増えた女性客の接待をしているときに、視界の隅に映っていた陸遜のことを。自分も好いているから、彼を視線から外せないのだと。
すまない、と暫く黙り続けていた周瑜は口を開く。消えかけそうな声。耳を澄まさないと聞こえないくらいな声に、陸遜は小さく笑った。



「なら今日だけは、……もっと貴方を感じさせてください」



再び唇を触れ合わせる。
今日だけは、なんて言い訳で。本当はもっともっと触れ合いたい。
だけれど、これ以上貴方に触れていれば貴方から香るカクテルに酔いしれてしまいそう。
貴方に溺れてしまうのを理性がせき止めてくれるのはいつまで続くだろうか。


Fin.




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