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依存≠恋

【注意】
Twitterでのフォロワーさんとの会話により派生されたものなので、内容が途中からとなっています。
諸葛亮のことが好きなのかと魯粛に言われ、図星な周瑜ということを前提にしていれば大丈夫だと思います。
以上、こんな中途半端なものでも問題ない人に限りどうぞ。







はぁ、と聞こえないように溜息を漏らす。日々の過大な執務の疲れよりもどっとくるこの怠さ。疲れた、そんな感情しか湧かず、ゆっくりと揺れる振動に身を任せる。


「そんなわけ、ない」


暫く魯粛に背負われて黙り込んでいたが、周瑜は自分にいうかのように呟く。先程言われた言葉など嘘だ、そう言い聞かせるように。しかし、それは魯粛の控え目な笑い声によって遮られる。
何がおかしい、と周瑜は気怠さからか小さい声で尋ねる。別に貴方らしいと思っただけですよ、と魯粛は笑いをこらえているのか息を少し吐き出すように周瑜の問いに答える。その声さえ聞き取れるほどの距離ということを実感し、改めて自分の今の格好のだらしなさに顔が熱くなりそうだった。建業に近づいたらこの体たらくが晒される前に降ろしてもらおうと、考えていたところで魯粛は言葉をつづける。


「貴方は依存すべきだ」

「……どういうことだ」

「そんなの貴方自身が分かっているはずですが」


びくり、と寒気がよぎった。―――寒気?どうして寒気がよぎったのだろうか。
あまりにも、最近自分の心と向き合っていなかったから。本心と久しぶりに対面したせいの恐れだったのかもしれない。だから、魯粛が言う"分かっていること"が周瑜自身を震わせたのだろう。
親友への依存。それはあまりにも度が過ぎていることは知っていた。自分がすべきことは、彼の天下を成し遂げるために、彼の背中を守ること。だから、自分の夢は彼の夢であった。彼が逝った時その夢が崩壊し、拠り所がなくなった。
しかし依存する相手がいなくなったために生じた空虚は、このみっともない姿を見せたくないという自尊心が満たしていった。それからだろう、前よりも激務をするようになり、呉を導く存在になったのは。


「……つまりは、私は奴に依存しているということか?」

「えぇ、そうではないですか」

「そんなことはないっ」


つい語尾が強調される。これでは図星ではないか。
本当に魯粛は相手にしにくい。知略ならば自分のほうが優っているのに、日常会話ではいつも彼に一本取られる。
周瑜は軽くとん、と拳で魯粛の背中を叩く。大の男を背負っている彼には到底効かないだろうそれに、子どもっぽいなと自虐する。少しの間黙り込みを決めていると、大丈夫ですよ、誰も見ていません、とまるで子どもをあやすかのように言うものだから余計機嫌が悪くなる。


「…………建業につく前に起こしてくれ」

「分かりましたよ」


拗ねてしまったな、と魯粛は少し苦笑する。勿論その表情は彼には見えていないわけで。暫く時間が経つと、背中から小さな寝息が聞こえる。それに魯粛は驚いた。普段から寝るという行為を殆どしない彼の寝ている姿など、見たことがなかったからだ。これは起こすのが勿体ないなと彼の邸に連れて行こうとしたが、今晩ある軍議のことを思い出し、建業にそのまま運んだほうがいいなと考える。恐らく、呉の将兵の殆どがこんな姿に驚くだろうと思いながら。


「…………依存するほど慕っているんですかね」


少し淀んだ空を見上げると、まるで背中にいる彼の心のようで。この心の靄を消すには、きっとあの依存相手が必要なのだろうと小さく呟いた。
同時に、自分の無力さを感じながら。

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