「完成だ」
彼女はそう言いました。
やっと元の世界に帰るための装置が完成したのです。
あとはボタンを押すだけで、この薄暗い路地裏からおさらば出来るのです。
赤いスイッチに指を添えたその時、
「あっ、猫さん!」
「えっ」
背中に軽い衝撃が走り、狙いが狂った腕はそのまま装置に突き刺さりました。
まずい。
壊れた装置の内側から膨らむ激しい閃光から、逃げるのは最早不可能でした。
そして同時に、すぐ後ろで猫を拾い上げた少女にとっても逃げるにはとっくに遅すぎたのです。
眩しい光の中で何かに引っ張られるような感覚を感じながら、彼女は意識をシャットダウンさせました。
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