流された先で見つけたもの

 するとヤツからも擦り寄ってきて、はにかみながらのそれに欲情が募る。
 そのままの勢いで唇を奪い、舌を入れ込むとヤツもすぐに応えてくれて舌と舌とを濃厚に絡ませ合いながらのキスに溺れる。
 こいつ、舌も熱い。それに甘みもかなり増してる。イった後だからか。確かに、こいつはイクとどこもかしこも甘くなる。糖度が増す。この甘みもまた、クセになるんだよなあ……かわいい。
 溢れ出る二人分のヨダレもしっかりいただき、のどに通す。すると、ヤツも欲しかったらしい。
 無理やりキスが解かれ、舌を出してくる。
「……俺にも、ちょうだい」
 最後の「ちょうだい」は囁くように言ってきやがって煽りやがった。クッソ、かわいいじゃねえか。ヨダレならいくらでもくれてやるよ。
 大量に口から零し落とすと、ヤツはそれを舌ですべて受け止め、味わいながら飲み込んでいる。その唇を奪い、口のナカに舌を入れて思いっ切りナカを引っ掻き回してやると、ヤツの両腕が首に回り、さらに強請ってくる。
 こいつって、貪欲だよなあエロいことに関しては。ま、そういうところもかわいいか。ってことで、もっとしちまおう。
 と思うか思わないかのうちに、ヤツの舌が俺の口のナカに入ってきてぺちゃっと音を立てて舐められた。これには少し驚く。こいつがこんな積極的に俺にキスすることなんて無かったのに。広島でも無かったぞ。ただ、受け止めるだけのヤツだと思ってたのにこれは意外だ。
 しかし、たどたどしい舌使いだなあオイ。上手く動けてねえじゃねえの。あのな、上顎舐めたいのは分かるけどそういう風に動かすんじゃねえんだ。そう思うと、諦めたのかやたらと舌ばかりを舐めてくる。
 その初々しい感じがかわいくて、そのまま舐められてやっているとふっと、ヤツの眼が開き上目遣いでこちらを見ながら舌を動かしてくる。
 その色っぽさといったらなかった。すんげえエロい顔してキスすんのね、こいつ。なんだこの色気。すげえ、なんかすげえぞ。
 そんなツラされるとこっちも燃えてくる。ちなみに、アッチもな。もうバキバキのビンビンだ。こいつの所為で俺のチンポも滾りまくってる。
 もっとその顔が見たくて、こっちからも舌を出してヤツの舌と合わせてみると、ふわっとうっとりとした表情へと変わり、それがまた色っぽい。因みに、少し見えている舌も同じく色気たっぷりだ。舌が、少し震えてんだよな。
 動かすことに慣れていないからなのか、舌を動かそうとすると微妙に震える。それがまたかわいい。頑張ってんだなって、なんか応援したくなっちまうような、そんなかわいさがある。
 リードしてやる形で舌を擦り合わせると、今度はまた色のある表情へと変化し「ん……」小さく喘いでこいつからも俺の舌を舐めてくる。
 上目遣いも止めてないからサングラス越しに目線が合っているわけだが、俺がなにか仕掛けるたびに、いろいろな表情を見せてくれる。特に、気持ちイイことをすると色気ムンムンの表情になったり、眉を寄せて苦しそうでもあるが気持ちよさそうな顔になったり、はにかみが入った笑顔になったりと、とにかく愉しい。
 キスでこんなに愉しいと思ったことってこいつが初めてだな。
 ついでに、キスがこんなに下手くそだと思ったのも、龍宝が初めてだ。こいつのキスは何度しても残念ながら上手くならない。
 普段はなんでもそつなくこなすくせに、なんでこんなとこだけ不器用なんだってくらい、キスが下手だ。
 だが、そういうところもこいつにかかるとかわいく思えちまうから不思議だ。
 もっとやってやろう。エロい顔が見たい。エロくてかわいい顔がもっともっと、もっと見たい。
 思い切ってヤツの舌を大きくべろりっと意識して舐めてやると、今度はヤツが俺の舌を舐めてくる。しかも上目遣いは止めずに、ちょっと挑戦的なツラして。
 上等だと、さらにベロベロ舐めてやると舐め合いになり、ヤツはほっぺたを真っ赤にしてキスの合間に「はあっはあっはっはっ」といった甘い吐息を漏らしつつ、うっとりとした表情で舐め合いを愉しんでいるようだ。
 んじゃ、次は緩く噛んでやろう。こいつは痛いのもイケるクチだからな。力を籠めてかぷっと噛んでやると、途端色っぽい表情に変わり首に回された腕に力が入って絞められた。
 舌もビグッと動いて、つったみたいになったがすぐに立ち直ってきて舌をたどたどしい舌使いで舐めてくる。
 ホント、へったくそなキスだなオイ。でも、そういうところもかわいいか。こいつくらい美形で舌使いがすげえ上手かったら百戦錬磨みてえでなんか怖ぇ気もする。ああ、そりゃ俺のことか。
 ま、俺は置いておいてこの顔でこの色気だからこその下手くそ。かわいい以外何物でもねえ。
 愛おしいなあ、こいつ。やっぱり、かわいいと思ってしまう。男とか女ではなく、龍宝という人間が愛おしい。
 こいつの場合、もはや性別云々というよりも龍宝っていう性だと俺は思ってる。へそが感じることもそうだし、色々含め龍宝っていう人間の性とでもいうのか。
 だからきっと、俺はこいつが好きなんだろう。愛してるって思える。

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