穢れの意味を問う

 そのツラに妙に興奮してしまい、出ている舌をがぶっと大きくステーキでも噛むみたいにして齧り付くとそれはさすがに痛かったらしい。噛んだ舌に一瞬ビグッと力が入った。と思いきや、ほっぺたの赤みがさらに強くなって真っ赤になり、その上、痛みなのか快感によるものなのか目尻に涙が滲み始めた。
 その色っぽさといったら何物にも代えがたく、言ってみればエッチだった。エロエロだ。そして、すげえキレーだ。舌噛まれてこんな表情するヤツっているんだなってくらい、煽情的とでもいうのか。
 とにかくいやらしさ満点だ。
 もっといろいろしてやりたくなり、今度は噛んだ部分を丁寧に舐めてゆくとそれはそれで気持ちがイイのか、甘い声を出してきた。
「んん、んんっんっ、は、あっ……はふ、ふは、はあっ……んんんっ」
 噛んだ部分が歯形に凹んでいるのがなぞった舌先で分かったので、そこを解すようにして舌でやわやわと舐めながらもう一度、緩く噛むと「んっ……!」といった愚図ったような声がする。
 なにをしても、こいつは感じるヤツだ。そう思うと、もっといろんなことを仕掛けたくなるのはもはや、男としての性だろうな。
「舌、出しな」
「ん……? んん」
 言いつけ通りすぐに舌を出した龍宝のソレにはしっかりと歯形がついており、その部分だけ真っ赤だ。これだけされても気持ちイイってんだから、こいつも相当なモンだよ。
 ぺろんと出ている舌に舌をくっ付け、ぺちゃぺちゃと音を立てながら舐めしゃぶると、すぐに乗ってきたヤツは俺の舌を舐め始め、ぬるぬると舌を滑らせながら舐め合うそれはそれで愉しく、そして興奮する。
 もっと欲しくなり、ベッドにヤツと座りながら片手は後頭部に当てて、空いている手は胸を撫でる。
「ん、ん、んっ……は、ふあっ……ふ、ふ、んんんっんうっうっ」
 なんともかわいらしい声だ。
 すると、何とヤツが手を伸ばして俺の股間を揉みしだき始め、余裕という文字が少しだけ消えたのが分かった。
 仕置きとばかりに、舐めていた舌を少しきつめに噛んで眼を開けつつヤツの顔を見ると、それはそれは色っぽい表情で眉を八の字にして、さらにほっぺたを赤くしてやがる。
 痛くないのかね。
 けど、こいつの場合は気持ちがイイ。不思議なモンだ。
 だったらと思い、連続して緩く何度も噛んでやると、服の上からでも分かるほどに身体が熱くなったのが分かった。そして、また甘ったるい声を出し始めている。
「は、はむっ、ふ、うんっ……う、う、う、うっく、ふっく、ふは、ふは、はっ……」
 その声がかわいくて、もっと聞きたくなってしまいさらに噛んだところで弱い抵抗に遭い、一旦唇を離すと、ヤツが避難がましい眼で見てきた。
「い、痛いですっ……そんな、何度も噛んで……! 俺にだって痛覚はあるんですよ」
「とか言ってオマエ、悦んでたじゃねえか。知ってるぜ、俺はお前のことならなんだって知ってる」
 すると、言葉を失った龍宝は口をパクパクさせ、胸に飛び込んでくる。
「さ、斉藤さんはっ……いじわるだ。意地悪してます! もっと、優しくがいい……」
「優しくね、優しく、か。分かった。優しくな」
 そう言って頭を柔らかく撫でてやると、はにかんだような笑顔を見せ、さらに俺の身体にしな垂れかかってきて、ぎゅっと身体に腕が回る。
「はあっ……なんだかすごく、官能的な気分……今までこんな風になったの、広島以来です」
「鳴戸の時はそういう風に感じなかったのか」
「親分は、そうですね……あの人とは楽しいセックスをしてました。あなたとは少し違う……もっと、なんていうか無邪気で、幼げでシてる最中に笑ってしまうような、そんなセックスをしてましたが……斉藤さん、あなたは少し違います。いえ、だいぶ違う。それが、俺は嬉しい。もっともっと、いろいろなことをしたい。して、興奮したい、そう思ってます」
 胸に凭せ掛けた顔を上げると、そこにはすっかりと淫乱モードに入った龍宝が上目遣いでこちらを見ており、思わず生唾を飲み込んでしまう。
「斉藤さん……ちょうだい」
 そう言って舌を出すヤツにヨダレをくれてやり、ヤツが口に含むと同じくらいのタイミングで唇を塞ぎ、ナカにいる舌を外に引き摺り出して、また噛んでやる。きつく噛んだり、柔らかく噛んだり、そういうことを繰り返しつつ、舌と舌とを絡めるとヤツの身体がプルプルと震え始めた。
 どうやら、かなり感じているらしい。
「あは、あは、はあっはあっ、は、あっ……あ、ああっんあっんああっ」
 引っ込んでしまいそうになると噛むように責めを変えてみると、自分から引っ込めることはしなくなったが、今度は噛まれる快感というものに本格的に目覚め始めたらしい。
 俺がきつく噛むと、感じるのか身体がピクッと動く。舐めても反応が薄い。これはとうとう、認めたかな? 痛いことも好きだって、そういうことを。
 だったら、こちらの取る行動は一つだ。
 ひたすらに柔らかく噛んだり、強く噛んだり舌を噛みまくってやると、目尻に溜まっていた涙がぽろっと零れ落ち、息が荒くなる。ぜいぜい言ってる。甘い吐息がこちらまで届いて、何だかひどくやらしい気分になる。
 もっと欲しくて、さらに噛んでやると今度はお返しとばかりにヤツが俺の舌を本当に柔らかく噛んできて、目を開けながらキスしているからヤツのドヤ顔が丸見えだ。
 だが、そんなモンで怯むほど俺も場数をこなしてはねえんだぜ、龍宝。

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