星屑の微温

 もう一度あごを掬い上げて両手でほっぺたを包み込み、親指の腹を使ってすりすりとすべすべの頬を撫でながら、諭すように言ってやる。
「おめーがくせえはずねえだろ。いいにおいがする。いっつも、甘いいいにおいだ」
 するとヤツは身じろぐのを止めて、くすくすと笑い出した。
「そういうところも……親分そっくり。鳴戸親分も、よくそう言って俺がシャワー浴びるのいやがったなって、ちょっと思い出しました」
「そっか、あいつもそう言ってたか。まあ、ホントのことに嘘は吐けねえよな。さて、と。んじゃあ……本格的に、抱くぜ」
 真正面からそう宣言すると、一気にヤツの顔が真っ赤になり眼が潤み始める。蛍光灯の光が当たって、眼の中がゆらゆらと涙を混ぜながら潤んでいてすげえ、キレーだ。
「……はいっ。たくさん、愛してやってください」
 二人して同時に革靴を脱ぎ、まるで縺れ合うようにしてベッドまで行って初めにヤツを座らせて、覆いかぶさる形でまずは濃厚なキスを仕掛けてやる。でも、最初はやっぱ、触れるだけかな。怖がらせたくねえし。
 ということで、ヤツの潤んで真っ赤な唇に吸い付くようにしてキスし、きつく吸い付いては離すということを繰り返す。
 それを何度も施してやるとヤツも乗ってきたらしく、俺と同じことを仕掛けてきた。甘い味がする。その甘い味が唇に押し当たるたびに、こたえようもない幸せと快感がやって来る。
 我慢できなくなり、薄っすらと開いていた口へ舌を入れ込み、舌を動かしながらナカを舐めてやると、積極的にヤツの舌が絡んできて、ヨダレが溢れ出す。
 それを捏ね回しながら舌を動かし、俺のヨダレとヤツのヨダレが合わさった液体をのどに通すと、何だか身体が燃えてくるみたいに熱くなってくる。
 そのまま何度もヤツの舌と俺のを絡め合わせてしゃぶり、唇を押し当ててナカを探ることを繰り返すとだんだん、息が上がってきてヤツも当然、激しく呼吸を繰り返しながら俺の首に手をかけて引っ掻いては「はあはあっ、は、はあっ」と不規則に息を吐き出しながらキスに溺れている。
 二人してまるでけだものみたいに息を乱しながらひたすらキスしまくり、上顎を舐めればヤツも舐めてきて、舌の下をしゃぶれば俺も同じようにヤツにしゃぶられ、舌を噛めば噛まれる。
 そんな追いかけっこみたいな、まるで遊んでるみたいな濃厚なキスが愉しくて仕方がなく、つい夢中になってしまうと弾みで、唇が解け息を荒くしながら至近距離で見つめ合う。
「はあっ、は、は、はあっはあっ……ん、斉藤さん……」
「は、はあっ……龍宝。好きだ」
 そう言ってキスすると、また応酬になり散々お互いの口のナカを舐め合って唇を離す。
「ん、俺も斉藤さん好き……大好き。好き、好き……好き」
 気分が高まり、今度は舌を外へ出して絡ませる。吸いながら絡ませ、ヤツの舌の柔らかさを堪能する。
 そしてキスをしながらベッドへとヤツを連れて乗り上げ、膝立ちにさせて尻を揉みながらのキスを愉しむ。
 こいつの尻ってホント揉み心地がいいんだよな。鍛えてあるからか程よく弾力があってさ、形もいいし、ぷりんってしててかわいい尻。
 ひたすらに鷲掴んで揉みたくると、ぶるっとヤツの身体が震えた。あれか、こいつかなり感度いいから感じたか。ま、それならそれでちょうどいい。だが、尻を撫でられただけでこんなに感じるとはこいつどれだけ感度いいの。最高の身体じゃねえ?
 そのままれろれろと舌を動かしていると、眼を開けたヤツは上目遣いで俺を見てきて徐に舌を出してきた。
「ヨダレ……ください。たくさん……欲しい」
 こいつはもうホント……どれだけエロいんだ。鳴戸のヤツもよくこんな風に仕込んだもんだよ。こんなに初心なヤツをさ、こんな淫乱に仕立て上げちまうなんて。いや、違うか。淫乱は持って生まれたこいつの持ちモンだったのを思い出した。
 ヨダレね、くれてやろうじゃないの。
 口の中から搾り出してヤツの舌に垂らすと、味わいながら飲み込んだのが分かった。のどが大きく上下したからだ。
 んじゃ、ついでに俺もいただいちまおうかな。
「おい、俺にもくれ」
 そう言うと、それは嬉しそうな表情を浮かべて口から零し落としてくる生温かくってぬるぬるしている甘い体液を味わって飲み下す。
 すると自然に顔を寄せ合ってしまい、また濃厚なキスが始まる。こいつとするキス、飽きねえなあ……すげえ興奮する。
 キスしながら尻から手を離し、今度は耳で遊んでみることにする。少しだけ親指を耳の孔に入れてみると、想像以上に反応してくれ、肩を縮ませながら「あっあっ」そう言って身体を震わせている。
 なにこいつ、耳も弱いのか。
 眉を切なげに寄せて、俺の舌を舐め回しながら荒く呼吸を繰り返すヤツは最高にエロくてかわいい。やっぱ、こいつはいいなあ……ホントいい。なにやってもかわいい。
「さ、触って……もっと、耳触ってください。き、気持ちイイっ……はあっ、イイです、すごく、イイ」
 ご所望通り、耳たぶにはピアスがあるので軟骨の部分をさらっと撫でると、身体がビグッとすごい勢いで跳ね、ヤツがさらに身体を震わせる。
「あ、は、はあっ……は、は、あっ……ああアッ! あっあアッァッ!!」
 耳だけでこんなに感じちまうのか。ある意味すげえ身体だ。
 唇を離し、さらに耳を嬲るべく首筋もついでに指の先で撫でてやるとそれにも反応を示し、ビグビグッと身体が動き「あぁっ……!!」と悩ましい吐息をつく。
 色っぽい。超絶に色っぽいぜ。すげえ、股間にクる声と顔してやがる。

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