あんしんとかやすらぎとか、そういうもの

 男は心底愛おしそうに笑んで頷いた。
「ま、業みたいなものよね。あなたもそれに支配されてここへ来たんでしょう? じゃ、お次は商品の紹介といきましょうか。本当は、あなたには道具なんかに頼らずにあなたのいい人に歩み寄って欲しいけれど……根が深そうだから、独りで愉しんだ後の虚しさを経験しておくのも手かもしれないわね。というより、あなたにはそっちの方が効くかも。男オナニーでは感じられないものを感じ取るとまた、考え方も変わるわ。さて、コーヒー飲んだらお店案内してあげる」
「あ、後その……聞きたいこと、ある。その、男でも潮って、し、潮……潮吹くか?」
「ええ、あ、もしかしてあなた潮吹いたの?」
「よく分からなくて、少し怖い。あれは、小便なのかなんなのか……よく分からないものが出て、困ってる。後ろに指を突っ込んだから出たのか、違うのかも分からない」
「あー……それは、男でも潮は吹くわよ。その正体はまあ、おしっこね。女の潮とは違うのよ。そっか、そんなになるまで追い詰められてるってことね。分かった。じゃ、アナルセックスも数こなしてるってことよね? そういう解釈でいいかしら。因みに、アナルに挿れたから潮吹いたわけではないわよ。それは、普通に女が潮吹くのと同じ原理なの。だから、そこまでいっているならアナルセックスも相当してるってことよね?」
「ま、まあそれなりに……」
「任せて! あなたに合ったぴったりのアナルバイブ、探してあげる。女になるのがいやって言うのなら、それ相応のアナルバイブもあるのよ。一緒に探しましょう。あ、ローションはある?」
「な、無い。持ってない。いつも適当なクリーム使ってヤってるから、無い」
「だめよー! いい加減なもの使うとアナルが痛んじゃうから、ローションは必需品よ。ちゃんと買っていって。彼にもちゃんと使ってって言うのよ、仲直りした時にね。後、クリームもあまり良くないわ。下手なもの使うとおなかが痛くなったりもするから、ちゃんとそこら辺は気をつけて。さて、それじゃ早速……あ、前立腺の開発は済んでる? 所謂Gスポットってやつね」
「それは……済んで、る。いつも、ソコ狙ってヤってもらってるから……」
「へええ、いい彼ね。ちゃんと愛されてるじゃない。じゃ、前立腺も一緒に刺激できるタイプとなると、この店には三種類あって……アタシのオススメはコレ! バイブタイプで、防水性も高いから使った後洗えるし、前立腺をしっかり刺激してくれる優れものよ。あとはー……いま紹介したタイプの後継機種が二種類。だけどやっぱりオススメしたいのは一番最初に紹介したこれね。かなり捏ね回してくれるわよ。正常位で挿れるのが一番これには向きかしら」
 そう言って、男が差し出したものはとてもバイブには見えないもので、何か真っ黒なオブジェクトのようだ。それでもやはり挿れるところはあからさまに突起が出ており、抵抗感はあるがそれは仕方のないことだ。
 欲しいのだから、後ろに。
「じゃ、それ買う。後、ローションと……あの、えと、び、媚薬、置いてあるか」
「媚薬!? あることはあるけど、どうしてそんなもの。いえ、そんなものって言い方悪いけど、何故?」
「や……シラフでこんなモン挿れる気にならないだろうと思って、少しでもなにか頭を飛ばすものが欲しい」
「分かった。抵抗があるのね。だったら、女性用のものとかどうかしら。男性用だと、多分あなたにはつらいと思うの。あんまり勃起が過ぎるのもつらいし、AVの仕事とかなら仕方がないけれど、勃起薬とかじゃなく、普通に媚薬ならそこまでつらくはないし、何度かイけばすぐに楽になるわ」
「でも、女物に男って効くのか?」
「効くわよ? アタシが試したから実証済みってわけ。ちゃんと勃つし、ソノ気にもなるし飛んでる間はホントにサイコーな気分にもなるしね。じゃ、ローションもおなかが痛くなりにくいアナル用のものにしましょうか。結構なお値段になるけど……」
「いい、全部買う。いくらだ?」
 値段を聞いた時は少し驚いたが、払えない額ではない。さっさと会計を済ませると、商品はビニール袋のように透けるようなものではなく、不織布の黒い袋に入れられ、手渡される。
「あ、言い忘れてたことがあったわ。あなた、腸内洗浄ってしてる? ナカをきれいにすること」
「腸内……? し、してない。なんだそれ」
「えーとね、簡単に説明するとお風呂場でシャワーを使ってするんだけど……あんまり今の時代知られてないけどね、シャワ浣っていってやり方はシャワーのノズルを外してって、奥へ行きましょ。ココじゃ何だか話しにくいわ」
 また再びソファに逆戻りして、改めてコーヒーを淹れ直してもらい二杯目になるコーヒーをのどに流し込みながら説明を聞く。
「ああ、それでね。とにかく焦らないこと、回数をやり過ぎないことを目安に、まずはシャワーヘッドのノズルを外して、ぬるま湯を出す。その後、アナルにシャワーヘッドを外した部分を押し当ててナカにお湯を入れて、溜まったと思ったら力むようにお湯を出す。これを数回繰り返して、お湯がきれいになったらそこでストップ。あんまりやり過ぎても、お湯がナカの方まで入っちゃって後から降りてくると最悪よ。だから、やりすぎ注意。それと、アナル解すならお風呂場がおススメかしら。汚れる心配も無いし、最後はシャワ浣できるし」
「最後も必要なのか?」
「ええ。それが一番アナルにとってはいい解し方なのよ。ま、上級者以外こんなことしないでしょうけど、あなたには痛い目に遭って欲しくないの。ただのお節介だから気にしないで。それに、もう少しあなたと話していたかったのよね。だって、稀に見る美形だもの。あなたのお相手も、きっと素敵ね」
 男のその言葉に、龍宝は頬を赤く染めてはにかむ。
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