夢中人

 その際、ぐちゅっと音が立ちそこがかなり湿って濡れていることが分かるような音が立ち、指が入ったその快感もあって勝手に腰がビグッと跳ねてしまう。
「すっげえナカあっつい。それに、ぬるっぬる。めちゃくちゃ濡れてんな。相変わらずやーらしい身体だぜ。なあ?」
「え……? 親分、いつ解してくれたんですか? そんな、ソコがそんな濡れるわけ、ないはず……」
「いいや? 濡れてるぜ。っつーか、いつもお前、濡らしてるじゃねえか。助平な孔が指きゅんきゅん締め付けてくるぜ。ほら、ココだよ、ココ」
 すると中指だけでなく、薬指に小指まで挿れられてしまいピストンされると言われもしない快感がナカから湧き上がってきて、まるで女のような声が出てしまう。
「ああっ、あんんっ! ああっあっあっあっああっ! や、あんっ!! やっやっ、だめ、だめ気持ちイイッ! あっあっ、や、あんっ!!」
「かわいい声だな。もっと聞かせてくれねえ? ココ、いじってやるからさ」
「ま、待って。ま、待って、待ってください! や、俺は男でそんなとこ、勝手に濡れるわけないっ……いつも、親分がクリームで解してて……そんな、こんな感覚、嘘だっ……」
「クリームで解す? 俺んなことした覚えないぞ。だってオマエ、勝手に濡れるもんな。いっつもぐしょぐしょに濡らしてココでイってるじゃねえの。なに言ってんだ?」
 なに言っているとはこちらのセリフだ。これは一体、どういうわけなのか。まさか、両性具体になったとでも言いたいのだろうか。しかし、後天的にそんな身体になるはずもなく、現に鳴戸がいじっているのはアナルだ。アナルは女のようには濡れない。だが、鳴戸は濡れているという。
 これは一体、どういうことなのか。
 不可思議に思っていると、急に鳴戸の指が激しく動き出し、ナカを掻き回すように指を動かしてきて、そのたびにくちゃくちゃくちゃくちゃと粘着質な音が立ち、指を動かされれば動かされるほどに快感がやってきて、思わず腰が勝手にせり上がってしまう。
「ああっ……や、や、やっ! あっああっ!! き、気持ち、気持ちいっ!! あっああっああっああっああっ!! や、だめ、だめイクッ! イっちゃう、だめイクッ……!!」
 何故Gスポットもいじっていないのにこんなに感じてしまうのだろう。ただ、ナカが蕩けるように熱くそして、指が刺し挿れられるたびにこたえられない快感が押し寄せてきて龍宝から理性を奪ってゆく。
 そのうちに本格的にイキたくなり、腰が勝手に捩れそして足を震わせてしまう。
「あああああっ……!! だめ、だめイク!! い、い、イクッ!! イクイクイクイクイクイクッ!! ああだめ、だめっイッ……ちゃう!! イックううううっ!!」
 さらに激しくなる指と手の動き。
 絶頂はもうすぐだと言ったところで、最後の絶叫が口を突いて出る。
「ああああああああ!! イック、イック、イクううううっ、ああああっああっあっあっあっあっあー!! あああああああー!!」
 そうしたところで、頭の中が真っ白にスパークし腰が跳ね上がったところで一気にそこで意識が覚醒し、自分の大声で眼が覚めたのだと気づき、荒く息を吐きながら真っ暗な天井を見つめる。
 一体、今の夢は何だったのか。
 実際には龍宝はイっていない。ベッドの中で、最後の刺激を待って勃起しているペニスが待ち構えているのが分かる。
 息が粗方整ったところでそっと、掛け布団を上げてみるとそこには見事に勃起して先端にはカウパー液を大量に滲ませてそれがシーツと糸を引いているのが見えた。
 これは、自分で始末するしかない。どうにかして身体を鎮めないことには、眠れもしないし何もできやしない。
 掛け布団を捲り、そっと勃起した自身を握り込むとそれだけで暴発してしまいそうなほどの快感が襲ってきて思わず「んっ!!」と小さく啼いてしまう。
 そのまましっかりと持って上下に扱くと、やってくる強烈な射精感。元々、追い詰められていたのだ。絶頂はもうすぐだと分かり、亀頭を中心に夢の中で鳴戸がやってくれたように親指と人差し指で亀頭を揉むようにして刺激してやると、すぐにでもさらに激しい絶頂の兆しが見え、そのまま指を動かし続けると、とうとう待ちに待った射精の時だ。
「うああっ!! あああああっ、ああああイック、イック、ああああイックううううっ!! ああっあっあっあっあっあー!! ああああああああっ!!」
 止めとばかりにさらに強く亀頭を潰すと、快感が下半身で爆発し、それらはすべてザーメンという形で吐き出され、腰を何度も跳ね上げさせながら白い汁を何度にも分けて手に飛ばす。
 だが、手だけでは受け止め切れず大量のザーメンが胎にも飛び、最高の絶頂に身を任せ、ベッドに体重を預けて荒く吐息をつき、改めて射精の快感の余韻に酔い浸る。
「あは、あは、はあっはあっはあっはあっ……は、はあっ……い、イった……んんっ」
 暫くそうやってベッドに転がっていたが、どうしても気になることがあったので、いやだったが恐る恐る、後孔に手を伸ばしてみる。そして、中指でソコをつんっと突いてみるがやはり、なんの潤いもなく、いつも通り硬く閉じている。
 となると、やはりアレは夢だったということになるがしかし、なんという夢を見てしまったのか。
 もはや考えたくもないと、無理やり重い身体を起こしてベッドから離れ、全裸のままバスルームへと向かう。
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