meltdown

 温かいと思う。愛おしい温かさだ。そういえば、片想いをしている間、この温みをひどく恋しがっていた。触れたら一体どんな感触なのだろうだとか、よく考えたものだ。
 その鳴戸の唇が実際、触れた時のことはよく覚えている。キス経験が無かった龍宝にとって、初めてのキスの相手が鳴戸だったのだが、柔らかくて熱く、それでいて優しいそれに感動すらしたものだ。
 そして、その甘さにも。
 鳴戸のことだ。酒の味や、男独特の苦みのような味を想像していたが違った。確かに、男の味はするがそれ以上に甘さが勝ち、つい夢中になって吸い付いてしまったものだ。その後、しっかり鳴戸に笑われたが、今となってはいい思い出だ。
 もう二度と触れられないと思っていた。けれど、またこうして触れてくれることに対し、安堵とそして後はなんだろうか。訳の分からない高揚が襲ってきてつい、鳴戸の唇を強く吸ってしまう。
 すると鳴戸も吸い付いてきて、今度は吸い合いになり、ちゅっちゅと音を立てさせながら互いの唇を吸い合う。
 まるで戯れのようなキスだが、その先に待っているのは決して、戯れなんかではない本気の肉体交渉だ。互いの熱さを分かち合い、分け合って抱きそして抱かれる世界。
 そしてその果てには、快楽の嵐が待ち受けている。
 あんなにいやだったセックスも、今のこの場では愉しみでしかない。これからどんな風に抱いてくれるのだろう。激しいのだろうか、それともねっとりと隅々まで貪られるのか。
 抱き方はその日の鳴戸によって決まるが、どう抱かれるかを委ねるのもまた、愉しい。まるでくじを引いているような気分になる。もちろん、どのくじも当たりくじに違いないもので、激しく抱かれるのも好きだし、ねっとりと味わうように抱かれるのも好きだ。
 どう足掻いても、鳴戸とのセックスには中毒性のようなものがあって一度抱かれたら最後。もう逃れられない。そういう風にしか、抱かれて来なかったというのもある。
 けれど、それでいいと思えるのはやはり、惚れている弱みだろうか。
 そのまま身を任せていると、ふわっと鎖骨に唇が当たる。
「あっ……あ、おやぶん……」
「かわいいな、お前はよお、いっつもこういう時、かわいいよな、そういう反応とかさ」
「ん、親分だけです。あなただけ」
 この言葉一つとっても、自分ではないみたいな気分だ。けれど、きらいではないと思う。鳴戸の素直さが龍宝の気持ちをも素直にさせてくれる。そういう引っ張られ方も、好きだと思う。
 その唇はだんだんと下へ降りてゆき、小さな龍宝の乳首を吸ってくる。途端、快感が背を走り抜け、思わず「は、アッ……!」と啼いてしまうと、くくっと鳴戸がのどの奥で笑い、そのまま乳輪ごと鳴戸の口のナカへと消え、舌先で抉るように突いてくる。
「あ、あ、あっ……あ、や、や、おやぶんっ、やっ……あ、あァッ!」
「声が甘いな。好きだろ、ココ。でも、ホントに好きなトコはべつだよな。知ってるぜ」
「は、はあっ……だめ、おやぶん、だめですっ……」
「なにがだめなんだい。じゃあ、直接ココいってみっか? お前の、一番好きなトコ」
 いつの間にか、ベッドの上に座っており見慣れたような見慣れないようなそんなベッドに横たわると、足の間に鳴戸がやってきて、いきなりへそに指を突っ込まれ驚きと快感にまたしても啼いてしまう。
「やっ!! あ、ああっ、あ、ソコ、ソコはッ!! だ、だめ、だめです、だめ、えっ!!」
「なんでだよ。好きだろ? ココ。へそが一番弱いんだもんなー。でも、へそも好きだけどあれだよな、チンポも好きだもんな。エロい子ちゃんは」
「やっやっ……! や、あっ……!!」
 期待で身体が震える。
 さらりと下腹を大きな熱い手で撫でられ、思わず息を詰めたところでいきなり、弱いへそを窪みごと舐められてしまい、胎がまるで蛇腹のように動き啼いてしまう。
「うああああうううっ!! ソコッ、ソコ、だめ止めてくださいっ! や、ああああ!!」
「なんで止めるんだよ。好きだろ? ココ。お前はへそが弱いからなー。かわいいなあ、こういう反応もさ。こうしたら、もっとイイ声出るかな?」
 くぷっと音を立てて窪みに尖らせた舌先が入り、唾液と共に掻き混ぜられ、あまりの快感に勝手に身体が捩れてしまう。
「ああっああっ! やっやっ、ああっ!! や、おやぶん感じるっ、感じちまうからっ、いやだあっ!! やっやっ、あっあっ!!」
「んー、イイ声。もっと聞きてえなあ。出ねえのかい、イイ声」
「はあっはあっ、やっ……き、気持ちいっ……! も、止めっ……」
「止めねえったら止めねえ。イイ声聞くまで止めてやらねえよー」
 今度は下腹を含め、へそを中心に肌に舌を這わせたくられ、弱い部分を責められる快感につい酔い浸ってしまう。けれど、おかしなことに確かに気持ちイイと感じているのに、何故かその感触が薄いのだ。疼く気持ちよさが、龍宝の思考を支配し始める。
 だが、その分その考えを塗り潰すように鳴戸が舌を使ってはへそや下腹を舐めしゃぶって嬲ってきて、そのうちになにがなんだか分からない世界へと放り込まれてしまう。
「うっあっあっあっ! お、おや、おやぶんだめっ、だめ気持ちいっ、気持ちいっ!! や、あっ、気持ちイイッ!! や、ホントに、だめ、ええっ!! あああああ!!」
 ひたすらに啼いて身を捩ると、漸く満足がいったようで身体を伸び上がらせ、荒く息を吐く唇を塞がれてしまい、隙を突いてナカに舌が入り込んできて大きく舐められる。
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