トロイメライ指先からこぼれて

 鳴戸の背には立派な刺青が彫ってあり、その背にちゅっちゅと口づけると、くすぐったそうに鳴戸が身を捩った。
「おいっ、イタズラは止せって。ソノ気になっちまうだろうが。困るのはお前なんだぞ」
「それは……確かに困りますね。でも、広い背中だなと思いまして。この背中には、一体何が乗っているんでしょうね。たくさんのモノを乗せても崩れない身体。親分みたいで、愛おしいです」
「龍宝……」
「さ、次は身体ですよ。ちゃんときれいにして差し上げます」
 放ってあったボディスポンジにボディーソープを垂らし、泡立てて身体へと滑らす。龍宝よりもだいぶ年上だが、肌にハリがありつるんとした皮膚は年齢を感じさせないきれいなものだ。
 痛くないよう、優しくボディスポンジを肌へと滑らす。
 すると、鳴戸から鼻歌が漏れ出し、随分と気分がいいことを教えてくれる。龍宝には何の歌か分からなかったが、昔流行った歌ではないだろうか。
 確か、女性ボーカルだったはず。
 心の中で何の歌か考えている頃には身体もすっかり洗い終わり、シャワーで泡を流して終わりだ。
「親分、終了です。終わりましたよ、いい気分のところ悪いですが」
「おお、終わったか。よし、じゃあ久しぶりに一緒に湯船に浸かるか。ホント、こうして二人で入るの十数年ぶりだもんなあ」
 先に鳴戸が入り、龍宝も後を追う形で二人でざぶっと水音を立てさせて湯船に浸かる。さすがに肩は出るが、大の男二人が入ってちょうどいいくらいの風呂は心地よく、龍宝の身体も心もトロトロに解きほぐしてくれる。
「はあー……気持ちイイなあ」
 鳴戸の片手は龍宝の肩に回り、甘えるように鳴戸に頭を預けると、肩に回った腕が上がり耳をいじられる。それに微量の快感を感じ取ってしまい、外そうとするが外れず、さらに首筋などを撫でてきては龍宝を焦らせてくる。
「お、おやぶん? あの、さっきから手が……」
「んー? 手がどうしたって? だって、手持ち無沙汰なんだぜ。お前が居りゃ、お前いじるのは当たり前だろうが。っつーか、やっぱ肌が桃色で美味そう……! 元気が無くても、やっぱお前はキレーなんだな。……かわいいヤツ」
 そういうなり、唇にちゅっと一つ口づけが落とされ、顔を真っ赤に染めると豪快に笑われてしまう。
「かわいい、かわいい。なあっ? かわいいなあ……ホント」
「お、おれはかわいくなんか……ない、ですよ?」
「俺がかわいいっつーんだからかわいいの。お前はかわいいぜ。世界中でいろんな女見てきたけど、やっぱお前にゃ誰も勝てねえわ。かわいすぎる」
 その言葉に顔を真っ赤に染めると、今度は頬を撫でてきて、くすくすと鳴戸が機嫌良さそうに笑う。もはや鳴戸の機嫌がいいのならいいと、諦めを兼ねてさらに甘えながら身を寄せる。
 幸福が、怒涛の勢いで包み込みにかかってきている。気持ちも、心も信じられないくらいの幸せに包まれ、もういま死んでしまってもいいと思えるほどに龍宝は満たされた気持ちを胸に鳴戸に寄りかかっていた。
 十数年ぶりの鳴戸はやはり、鳴戸に変わりはなくどこも変わっていない、昔の鳴戸そのままだ。そのことが何故かとても嬉しく、瞳に涙を浮かせながらすりっと頬を擦り寄せる。
「おやぶん……愛してます。あなたが、好き……大好き」
「またかわいいこと言ってるよ。あのなあ、俺がいま何を我慢してるか、言ってやろっか。聞きたくなかったらしーってしてな」
「我慢、していること……?」
 すぐに思い当たった龍宝は顔を赤くするが、小さくこくんと頷いてみせる。
「あの、本番は無理ですけど……その、ただ、扱くだけなら……も、問題、ありません……」
 ぴくっと、頬を撫でていた鳴戸の手が動く。
「……んなこと言っちまっていいのか。本気でしちまうぞ。身体、つらいんだろ?」
「確かに身体は万全ではないですが……えと、俺もおやぶんとするイイコト、きらいじゃないんで、大丈夫です。未だ、おやぶんを感じたりないので好きに、してもらえると……嬉しいです」
「よーし! 言ったな? じゃ、身体つらくて本番無理ならあれだな、兜合わせでもするか。これはどっちも同じくらい気持ちよくて上手くすりゃ同時にイけたりもして、満足感がすげえらしい。これでいくぞ。一旦、湯船から出る。お前も出ろ」
 それに返事をし、湯船から上がり所在無さげに突っ立つと、洗い場にごろんと鳴戸が横になり、くいくいっと手招いてくる。そんな鳴戸のペニスは既に勃起して硬くしなっており、それを見るなり顔を真っ赤に染める龍宝だ。
「おい、照れてねえで俺跨いで、チンポが合わさる位置に座りな。これは、二本まとめてチンポ扱いて快感得る方法だからな。……顔赤くすんのは後でいいから早くしろって。期待してんだよ、コッチは!」
「え、あ、は、はい……じゃ、じゃあえと、失礼します……」
 思い切って鳴戸の身体を跨ぎ、股間のほぼ真上に腰掛けると、ずいっと鳴戸の腕が伸びてきて、何の前触れもなく勃ったペニスを二本同時にぎゅっと握りしめた。
「うあっ!! あ、あ、あっ……びっくり、した……ん、はあっ……これだけでも、気持ちイイ。おやぶんの、すっごくあっつくて、硬い……」
「よし、んじゃあ始めるぞ。お前も、気持ちよかったらイイって言えよ。これは相当イイらしい。扱くからな」
 こくんと頷くと、剥けた二本のペニスが片手に持たれ、ごしごしと上下に擦り上げられ始める。
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