灼熱の君を抱くこの腕は

 温かさが戻ってきている。逆に、熱いくらいだ。
 そっと覆いかぶさろうとすると、それは鳴戸に制されてしまい涙の痕が残る両頬を手で包まれる。
「まったく、泣き虫なんだからよお……もしかして、俺が風呂行ってる間中、泣いてたんじゃねえだろうな。まったく、キレーなほっぺががさがさだぜ。泣くなとは言わねえけど……やっぱ笑ってて欲しいな、お前には。かっわいい顔してんだからよ、勿体ないぜ。笑えよ、龍宝。笑っていてくれ」
 こくんと頷き、頬を包む手に甘えて擦り寄りながら微笑むと、鳴戸ののどが小さく鳴る。
「……クッソ、やっぱかわいいわ、お前。たまんねえ。めちゃくちゃかわいいじゃねえか」
「かわいくは、ないですよ……」
「いいから黙んな。俺がかわいいっつったらかわいいの。すっげえ、そそられる……。つか、右のほっぺた、熱いな。俺が殴ったからか。……ごめんな、痛かったろ」
 それに龍宝は首を横に振り、右頬を包んでいる手に擦り寄り笑んで見せる。
「俺が悪かったんですから、親分が気にすることじゃないです。それより……俺、おやぶんとキスがしたい。たくさんたくさん、キスして欲しいです。飽きるくらい、いやになるくらいたくさん、キスが欲しい」
「やっぱ、かっわいいわ。ホントたまんねえよな。こんなこと、女にだって誰にも言われたことねえ。嬉しいっつーかやっぱ、すっげえかわいいなお前はやっぱり。誰にも敵わねえよ、お前の可愛さの前じゃ、敵なんていねえから安心しな。心底に、愛おしく感じる……」
 誘導されるように、鳴戸の顔の前まで頬を包まれたまま移動させられ、触れるか触れないかの至近距離でじっと二人は見つめ合う。
「愛してるぜ、龍宝」
「俺も、親分のこと愛してます。この気持ちは、誰にも負けない。……気持ちだけ、ですけど……」
「ばかいえ……」
 ふわりと重なり合う唇。鳴戸のソレは温かくて湿っていて、そして柔らかかった。気持ちイイと思う。この唇が永遠に自分のモノになればと願わずにはいられないほどに、愛おしい唇だ。
 今度は角度を変えて口づけてきて、それに応えるように龍宝も同じようにいろいろな方向から何度もキスを重ねると、鳴戸の舌が出てきたので吸い込まれるようにして吸い付いて舐めることを繰り返す。
「ん、んっ……んう、ふっ、は、はっ……ん、ん、んむっ、ふっ……」
 そのうちに舌の舐め合いになり、ひたすらに舌と舌とを絡め合い、小さく舐めたり大きく舐めたり、とにかくなんでもいいから愛のあることをしたいと、夢中になって鳴戸の舌を追いかけ、そして追いかけられては絡め合い、吸い合う。
 ふとした瞬間に唇が離れ、目を開けて鳴戸を見るとその顔は笑んでおり、腫れている右頬にキスし、手が後頭部に添えられたと思ったら耳の後ろに唇が寄り、何度も小さく舐めては口づけられる。そのあまりの気持ちよさと刺激に、思わず啼いてしまう龍宝だ。
「あ、あっ……おや、ぶんっ、ソコ、その……くさくないですか? 風呂に入ってないんで……」
「ばか言えっての。すんげえいいにおいがするぜ。甘いにおい……これ、コロンとかじゃねえよな」
「そんなもんは持ってません。多分、俺のにおいだとは思いますが止めておいた方がいいかと……く、くさいですよ」
「やーだね。ここ気に入った。もっとたくさんキスしてえ。させろ、エロいこと。お前も好きだろー? 俺の愛撫」
 その言葉に、顔を真っ赤に染めてしまう。確かに、鳴戸とする色事はきらいではないが、やはり羞恥が勝る。
 すると、その思いを感じ取ったのだろう大胆に耳の後ろから首にかけて、舌で大きく舐めしゃぶり始めたのだ。そのぞくぞくと来る快感に、思わず身体が震えてしまう。
「あ、はっ……あ、ああっ……!! や、だめ、感じる、感じますっ……はっ、あっ」
 耳元で鳴戸がくすぐるように舌を細かく使ってしゃぶってくると、荒い呼吸が聞こえる。鳴戸も興奮しているのだ。何となく、自分と同じだということが分かり嬉しくなってしまう。
 そのままピアスを気にしているのが分かりながら耳も舐められ、しゃぶしゃぶと音を立て嬲られ、その手は忙しく動き、龍宝の双丘を鷲掴み揉みしだきながらひたすらに首元を愛撫してくる。
 顔が熱いと思う。ついでに身体も熱くて、どこもかしこも熱くてたまらなく、反射で起き上がってしまい、肩で息をして呼吸を整えつつベッドに座ると突然だった。
 後ろからタックルされるように抱きつかれ、胸筋のついた胸をマッサージするように揉みながら、後ろからの愛撫が始まる。
 少々乱暴なそれだが、今はこの大胆さが少し嬉しい。
「はあっはあっ、おや、おや、おやぶんっ……ああっ、い、イイッ……すっごく、イイッ……!! あ、は、はあっんっ!」
 両手の人差し指を使い、乳首を抓んだり押し込められたりするのもまた、それはそれで気持ちがイイ。この部分の開発は、鳴戸がしたものだ。女と寝ても一切、ソコには触らせなかったが鳴戸が積極的に愛撫を重ねた所為で、感じる身体にされてしまったのだ。
 親指と人差し指でこよりを作るようにくりくりと捻られると、腰が捩れるほどに気持ちがイイ。しっかりと勃ってしまった乳首はさらなる快感を欲するようにさらに硬くしこり始めている。
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