あいのうた

 龍宝は頭を打ち振り、背を海老反らせて鳴戸の腕を両手で掴み快感に浸り切っては大きな声で喘ぎ、イキを要求する。
「ああああっ! だめっ、イクイクイクッ!! おやぶんだめですっ、イク、イック、イックううううっ!! ああああ、だめがまん、できないいいいっ!!」
「おおっ、俺もっ、俺もイクッ!! ああああチクショウ、イクぞ!! お前ン中、ブチ撒けるけどいいなっ? 中出しすっけど、いいな? ああっ、くっそイクッ!!」
「だっ、出してっ! 出してください、ナカ、ナカにください! おやぶんの、おやぶんの白い汁ブチ撒けてっ! 出してっ!! ああああイックうううううっ、ああっあっあっあー!!」
「ああああクッソ、イク、イクイクイク、龍宝イクッ!!」
 二人の身体がビグビグビグッと断続的に跳ね、捩れそして部屋の中はひたすら荒い吐息で満たされる。
 龍宝のペニスは飛び跳ねながらザーメンを撒き散らして絶頂に達し、鳴戸は叩きつけるように腰を使って最後の一滴まで龍宝のナカに注ぐつもりらしい。細かくピストンしては肩で息をしている。
「はあっ、はあっはあっ、はっはっはっはっ……あうっ、ううううっ、おやぶんのが、ナカに、ナカ拡がってるっ……! あっついのが、ナカいっぱいに拡がってるっ……熱いいっ」
「はあっ、はあっ……あー……すっげ、気持ちイイ、ナカに出しちまってる。お前ン中、出しちまってるわ。気持ちイイなこりゃ」
「ん……おやぶんキス、キスを……」
 手を彷徨わせると、両手を取られて鳴戸が覆いかぶさってくる。殆ど放心したまま降ってくる口づけを受け止め、その柔らかな心地よさに浸っていると徐に唇が舐められ咥内へと入り込んでくる。
 口を大きく開いて受け止めると、舌を絡め取られてぢゅっと吸われ唾液が持って行かれてしまう。
 龍宝も負けじと鳴戸の舌に乗った唾液を啜り、飲み下す。
 すると、応酬になり舌を外に出してれろれろと上下に動かし溢れ出る唾液を飲み下し合い、濃厚なキスに溺れる。
 唾液で口の周りがベタベタに濡れそぼる頃、漸く口づけに満足し顔を離すと頬の両側にキスが落とされ、ぎゅっと身体を抱かれる。そして初めて聞く、鳴戸の甘えたような声が不意に耳に届く。
「龍宝ー……!」
「お、おやぶんっ? どうしました?」
「もう俺たまんねえよー、もうだめだ。お前ン中気持ちよすぎる。お前しか、だめになっちまいそうだぜ……!」
「……その、俺は嬉しいですけどね」
「言ってくれるじゃねえか。また欲しくなっちまう」
 龍宝は鳴戸の腕の中でほうっと幸福の溜息を吐き、広い背に腕を回してぎゅっと抱きつく。
「俺も、親分の顔にキスがしたいです。たくさん、したい」
 すると、鳴戸が少し離れてくれ目の前には男らしい精悍な顔がある。今は少し緩んでいるが。
 龍宝は鳴戸の頬を両手で包み、鼻の頭にキスし次は額、そして頬そして最後に唇に口づけを落とし、笑んで見せると今度は、同じことを鳴戸から返され、唇へのキスが終わるとじっと二人は互いの顔を見つめ合い過ごす。
「親分って……」
「お前って……」
 言葉が被り、同時に話し出したことへ笑いを感じ、思わず笑んでしまうと鳴戸もキュートな笑みを浮かべて唇に口づけが落とされる。
「親分からどうぞ」
「いや、特に何ってわけじゃねえけど龍宝、お前ってキレーなツラをしてんだな。知ってはいたけど、ここのところのお前は特に艶っぽくなったっつーか、女よりもずっとキレーなのよね」
「そういう親分こそ、親分って男前ですよね。俺も知ってはいましたし、そこも好きなところですから特に言い出しはしませんでしたが、精悍で男っぽくて……とても、素敵です」
「よせやい! 褒めたってなにも出ねえぞ」
 そう言って、またしても口づけが降ってきて顔中に唇が押し当てられる。そして頬を手で包み込まれ、親指の腹ですりすりと頬を撫でられると、熱が伝わってきてあまりの心地よさについ擦り寄ってしまうと、これ以上なくだらしない顔になった鳴戸がにかっと笑い、またキスの嵐を受けぎゅっと抱かれる。
「そういえばよお、酒持って来たよな。お前の鞄に入ってるやつ。あれ飲まねえ? 折角だし、夜景でも見ながらゆっくりさ」
「ええ、いいですね。それ、すごくいいです。俺も親分と酒が飲みたい気分だってので嬉しいです」
「んじゃ、ちょっと準備してくるわ。お前はいい、そこで寝転がってな。疲れただろ?」
 起き上がった鳴戸は、放られていた浴衣を羽織るだけ羽織り、前も閉じないまま勝手に龍宝の鞄の中を探って酒瓶を取り出す。
 因みに、グラスの用意が無かったのでそれは旅館の湯呑みを借りることにした。
 そして窓際にて、龍宝も前を閉めずに浴衣を肩からかけるだけにしてオーシャンビューの景色を鳴戸と眺める。
「きれいですね……幻想的です」
 そっと隣に座る鳴戸に頭を預けると、肩に手が回りぐいっと引き寄せられる。
「おお。でっかいおっ月さんだな。きれいなもんだ」
「あの、親分。唐突ですが一つだけでいいんです、俺の願いを叶えてもらえませんか……?」
 上目遣いで鳴戸を見上げ、肩に擦り寄ると額に一つ、口づけが落とされる。
「お前の願いならいくつだって叶えてやるよ。なんだ、言ってみろ」
「この先……どんな女を抱いてもいい。いくらでも抱きたいだけ女を抱いてもいい。ですが、最後には……必ず、俺の元へ戻ってきてください。それが、願いです。俺の、たった一つの願い」
「ばかだな、お前は。じゃあ、俺の願いも聞いてもらおうか。いいか、俺より先に死ぬな。腕が千切れても、足が千切れても内臓が飛び出ても、俺の元へ帰って来い」
「親分……ずっと、封印しておこうと思った言葉を、いま言います。……愛しています。今だから素直に言えるのでもう一度、言います。俺はおやぶんを、ずっと前から愛しています。大好き、です」
「ああ、そうだな。俺も、お前を愛してるよ。かわいいお前だからな、特別に言ってやる。愛してる。こんな言葉、誰にも言うことなんて無いと思ってたのにな。もう止まらねえな、この想いは。止めるつもりもないけどさ。愛してるぜ、龍宝。ずっと俺の傍にいろ。俺に幸せをくれ」
「おやぶん……でしたら、親分も俺の幸せになってください。俺の幸せはおやぶん、あなたなんです」
「龍宝……」
「おやぶん、好き……愛してます」
 二つの影が重なり合って一つになり、空にはぽっかりと明るい月が浮かんで二人を照らしていた。これから先の、龍宝と鳴戸の未来のように。

Fin.
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