わたしはカーペットに寝転んで、大きな窓越しにグリーンカーテンをじっと見ていた。雨粒に打たれ揺れる緑は綺麗で、チラホラ咲いている黄色の花も上を向いて揺れている。葉と葉を伝って流れ落ちる雨は綺麗だ。
コーヒーの匂いがする。足音と一緒に匂いも近付いて、うつ伏せで寝転ぶわたしの横にすらっと伸びた逞しい脚が見えた。
「う"ぇえ、おっっっも!!」
「汚え声出すな」
「じゃあ人の上に無許可で乗るな」
わたしのお尻の上に遠慮なく腰を下ろした爆豪が鼻を鳴らした。
そのままリモコンでチャンネルを変えだすから降りる気がないのだと悟り、せめてもの抵抗にお尻を揺らしたが「熱々のコーヒーがてめェのケツの上に溢れるだけだぞ、アホ」と言われたのでやめた。本当に嫌な人。
「私のお尻は心地良いか?」
「まあな、デケェから」
「ころしてやる」
「非力が」
「クッ……」
重たいけれど爆豪の体重のかけ方が丁度よくて、気持ちいい。なんだか眠くなってきた。大きくアクビをして瞳を閉じると、コトンとテーブルにマグカップを置く音が響いて薄っすら瞼を持ち上げる。
「1人にスんな。俺も混ぜろ」
言いながらゆっくり立ち上がった爆豪はわたしの横に来て、同じように寝そべり長い腕でわたしを抱き締める。
「寂しん坊だね、よしよし」 「ん」
ふわふわの髪を撫でると擽ったそうに身動いで、あかい瞳が隠された。温かすぎる爆豪に包まれて今度こそ瞼を閉じる。
頭上からはサワサワとグリーンカーテンが揺れる音と雨音、それからすぐに浅い寝息が聞こえてきた。
21'0712