01
バレンタインを直前にして、俺は手作りのお菓子を作っていたりした。
「俺ってばオトメーン、てーかスイーツ男子?」
そんな事を一人ごちながらクッキーを作っていた。
最近流行りの逆チョコってやつかな、違うか。
あげる相手も男だし。
ちなみにあげる相手は日頃お世話になっているグッチーの仲間達。
後は母さんだな。
さっきから目の前で「まだ出来ないの〜」なんて子供みたいにクッキーの完成を一番に待っている人。
本当は俺の方が貰いたいのに。
食いしん坊と言うか大人気ないと言うか‥
きっと残りの全部は母さんの腹の中に消えていくのだろう。
それは必然的に…。
「美味しそ〜!!康喜、これもう食べて良いー?」
「いいけど‥あ、そこの皿に入ってるやつは食べんなよ。」
「んー。」
"そこの皿"の中身とは、勿論クッキーに変わりない。
だけどただのクッキーじゃないんだ。
実は皆でロシアンルーレットをしようって話になっていて、一個だけめちゃくちゃ不味いクッキーが混じってる。
去年もやったんだけどこれが中々盛り上がって、好評につき今年もやろうって話になった。
「ムフフ…」
「ちょ、‥気持ち悪いからその笑い方止めなさい!!」
誰が当たるんだろう‥なんて考えていたら笑いがこみ上げてきた。
本当に楽しみだなぁ。
ワクワクと明日と言う日を待ち遠しく思いながら、ロシアンルーレット用の美味しいクッキーを6枚、不味いクッキーを1枚、まとめて袋に入れた。
その後も何度かクッキーを焼いて、なるべく出来の良いやつを選んでラッピング。
これはプレゼント用の美味しいクッキー達。
最後の仕上げに『腹下したらメンゴ★責任は取らんぜよ(笑)byグッチー』と一応メモを入れておいた。
…で、特別な最後の仕上げ。
池内や他の奴はどうでもいいから隅に置いて…
愛斗君のクッキーを目の前に置いた。
「ラブ注入。」
ポーズもバッチリ決めてみた。
愛斗君への愛が俺を突き動かす。
「あ、あんた…!!も…止めてっ‥!!(爆笑)」
「…ドドスコもやろうか?」
「ちょ、…!!」
最近気付いた事がある。
母さんと池内って雰囲気が似てるんだよな。
だから家でも学校でもこんな感じ。
笑い声が絶えない。
うん、良い事だ。
× next