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バレンタインを直前にして、俺は手作りのお菓子を作っていたりした。


「俺ってばオトメーン、てーかスイーツ男子?」


そんな事を一人ごちながらクッキーを作っていた。

最近流行りの逆チョコってやつかな、違うか。

あげる相手も男だし。




ちなみにあげる相手は日頃お世話になっているグッチーの仲間達。


後は母さんだな。


さっきから目の前で「まだ出来ないの〜」なんて子供みたいにクッキーの完成を一番に待っている人。

本当は俺の方が貰いたいのに。

食いしん坊と言うか大人気ないと言うか‥

きっと残りの全部は母さんの腹の中に消えていくのだろう。


それは必然的に…。






「美味しそ〜!!康喜、これもう食べて良いー?」

「いいけど‥あ、そこの皿に入ってるやつは食べんなよ。」

「んー。」


"そこの皿"の中身とは、勿論クッキーに変わりない。

だけどただのクッキーじゃないんだ。

実は皆でロシアンルーレットをしようって話になっていて、一個だけめちゃくちゃ不味いクッキーが混じってる。

去年もやったんだけどこれが中々盛り上がって、好評につき今年もやろうって話になった。


「ムフフ…」

「ちょ、‥気持ち悪いからその笑い方止めなさい!!」


誰が当たるんだろう‥なんて考えていたら笑いがこみ上げてきた。

本当に楽しみだなぁ。

ワクワクと明日と言う日を待ち遠しく思いながら、ロシアンルーレット用の美味しいクッキーを6枚、不味いクッキーを1枚、まとめて袋に入れた。





その後も何度かクッキーを焼いて、なるべく出来の良いやつを選んでラッピング。

これはプレゼント用の美味しいクッキー達。

最後の仕上げに『腹下したらメンゴ★責任は取らんぜよ(笑)byグッチー』と一応メモを入れておいた。





…で、特別な最後の仕上げ。

池内や他の奴はどうでもいいから隅に置いて…

愛斗君のクッキーを目の前に置いた。


「ラブ注入。」


ポーズもバッチリ決めてみた。

愛斗君への愛が俺を突き動かす。






「あ、あんた…!!も…止めてっ‥!!(爆笑)」

「…ドドスコもやろうか?」

「ちょ、…!!」


最近気付いた事がある。

母さんと池内って雰囲気が似てるんだよな。

だから家でも学校でもこんな感じ。


笑い声が絶えない。

うん、良い事だ。



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