02



次の日。

テンションは何とか普通に戻ったけど、鼻声は相変わらずだった。


「マナトかわいー、」

「…ばぁーか、」


こんな感じでイジられる。

池内なんかにイジられる事にムカついて、足を蹴ってやった。


「いけうちのクセに…、」

「いたっ…暴力反対!!」








もうすぐ四限目が始まる頃。

次は移動教室なので科学室に来ていた。


「居た居た、愛斗君!!」

「え…、」


何故か急に現れた野口。

クラスが違う野口がここに居る意味が分からない。

思わず俺は「一体なんだ」と身構えた。


「どうしたの?」

「愛斗君さ、時間ある時でいいんだけど俺のクラスきてくれない?」

「え…なんで?」

「いや…ちょっと用事があって、」


そう言った野口だが、正直俺には見当も付かなかった。


「…今じゃダメなこと?なんか真剣なはなし?」

「いや…とにかく後で来て。絶対来いよ。じゃ、」


早々と去っていった野口…。

その背中をポカンと見届けながら俺は思う。



怖い…、

なんか怖いっ!!



野口はいつも無表情なだけに、こんな風に呼び出しをされると逆に怖い。

俺を呼び出した理由もあやふやだったし、無表情な分真剣な話に思えて無駄に怖かった。

わざわざ移動教室先にまで来たぐらいだから、相当大切な話なんだろう。


分かるのはそれくらいだ。


「なぁ…、野口に呼び出された…」

「何、告白!?」

「違うって!!!」


取り敢えず山口に相談してみる。

だって本当に訳わかんないし…


「今さ、わざわざ科学室まで来て呼び出し受けて…俺なんかしたのかな?」

「いや〜、俺に聞かれても。」

「もしかして喧嘩売られるのかなぁ…」

「それはないって!つーか大丈夫だろ、野口そんな奴じゃねぇし。」


それは俺も思う。

野口って本当に優しい奴だから。

けど、さっきの野口は終始無表情でなんか怖かった。

いつもと違うと言うか、何と言うか…


「喧嘩売られたら買うしかないよな、うわっ…憂鬱だぁ…」

「だから無いって!!愛斗も心配性だなぁ〜!!」

「もー、俺本当に怖いんだって‥笑いごとじゃないから‥」


ちょっと半泣き。

野口が残したモヤモヤに、俺は一時間苦しむ事となった。



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