08


「ちなみに初恋は?」

「初恋は…流石にあるけど‥、確か……リカちゃんだった。」

「へぇ〜、可愛い名前!どんな子だった?」





「人形。」





「え?」

「あれ?もしかして愛斗君、リカちゃん人形を知らない?」

「いや…いや、………叶わぬ恋、だったんだなぁ…と。」

「…そうだね。」


ちょっぴりしんみりと…ガールズトークもどきを展開。

愛斗君が遠い目で何処かを見詰めたのを最後に、再び会話が途切れた。







「…暇、」


ボソッと呟いてみても、愛斗君は漫画に集中していて気付いてくれない。


それにしても、始めてきた部屋でリラックスしてる愛斗君は本当に凄いと言うか…何というか…

だってさ、俺のベッドに寝転がって漫画読むとかどんだけだよ。

部屋の主はさっきからボロい椅子に正座だぞ!


まぁ、正座何てしなくて良いって言われたらお終いだけどさ。


愛斗君の大人しそうに見えて実は図太い所…本当に素晴らしいです。





「ふぁ〜…ねむ…」


そう言って愛斗君はゴロンっと仰向けに寝転がった。

そう言えばさっきから、よく欠伸をしてたような…

何だか目がトロンとしてて、本当に眠そう。


って、ちょっと!!


「へそ出てるし…」

「ふへぇ〜…?」


とうとう寝ぼけてるみたいだ。

寝転がった時に両腕を上げていたからか、愛斗君のオヘソ様が丸見え。

取り敢えず正座を止めて、愛斗君に近付いた。


おぉっと…!

あ、足が…!

足が痺れてるぜ…!!


「まなとくーん…眠い?」

「んー…」

「起こしてあげるから、眠いなら寝てもいいよ?」

「んー…おやすみぃ…」


服を引っ張ってオヘソ様を隠しながら話し掛けたら、愛斗君は夢の住民となってしまった。

もうさ…話してる時の愛斗君、目開いてなかったからね?



てか本当に寝てるよ…

愛斗君の神経スゲェな。

マイペースと言えばいいのか…マジスゲェ…

ま。

今日まで試験だったし、相当疲れが溜まってたんだろうな…、







「無防備、」



愛斗君の寝顔を見て。



覆い被さるように抱き締めたくなって…



何となく、今は、



全ての衝動を抑えた。



ただこれだけは許して欲しいと、ドキドキしながら愛斗君の隣に寝転がった。


to be continued..

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