07
「お邪魔しまーす‥」
なんだなんだ?
ちょっと緊張気味に挨拶するなんて可愛いじゃないか。
こんな感じで愛斗君を部屋へ招き入れた。
「へぇー‥部屋キレー…てか漫画多ッ!?どんだけ持ってんの!?」
「まぁ、集めてるからな。」
「金持ちかー、羨ましい限りだ。」
「いや、貧乏だし。これ全部アマゾンで購入してるから。」
「…なるほどねー。」
どうやら愛斗君は漫画に興味津々のようだ。
この漫画は知ってるだの読みたかっただの言って、本棚に並ぶ本に釘付け。
「漫画…読んで良い?」
「おー、好きなだけどうぞ。」
「やった!!どれ読もー‥」
愛斗君が漫画を読み始めて数分。
俺は暇で暇で仕方がない。
観察、そして目の保養、と題して愛斗君を見つめ続けていたんだけど、何だか物足りなさを感じる。
グッチーは君に構って欲しいんだよ、気付いて…愛斗君…
「愛斗君って…」
「んー…?」
「彼女…とか、好きな人とか、居ないの?」
ドキドキ…しながら質問してみた。
実は前から気になってたんだよなぁ。
そう言うピンク色の話ってした事が無かったし、凄い気になる。
「…居ない。」
「マジか!」
「…つか、男子校で出会いとかないし?好きな人出来る訳ないし?」
「そうだなー、ちなみに今まで付き合った人は?」
「……居ませんけど。」
ヤバいヤバい。
思わずニンマリしてしまう。
顔を上げた愛斗君は、本当にもう、めっちゃくちゃ不機嫌だ。
だけど俺の気分は晴れやか。
つまり上機嫌ってやつ。
何でかな。
よく分かんないけど…顔がニヤケてしまう…
愛斗君、ゴメンね…。
「俺は…野口みたいにカッコ良くないから…しょうがないじゃん……てゆーか野口は居ないの?そーゆー人!」
不機嫌だ…!!
ちょー不機嫌だ!!
でもそれがツンデレっぽくて可愛いぞ、愛斗君!!
「居ない、てか付き合った事ないし。うん、俺らチェリーブラザーズだな。」
「嘘っ!?…付き合った事がない!?野口が!!?ねぇ、それ嘘だよね?」
「え?なんで…嘘じゃないって!」
ちょ、一応ボケたんだけど…。
チェリーブラザーズはスルーですか?
出来れば突っ込んで欲しかったな…。
「うそーん…そんな格好良かったらモテたでしょ?」
「いやいや、告白とかも受けた事ないし。」
「うそー!そんな格好良いのに!?あれか、格好良すぎて逆に近付き難い存在、みたいな?」
どう言うことだ。
さっきから愛斗君にベタ褒めされてるんだが。
そんなに格好良いって言われたら…正直、悪い気はしない。
しかも愛斗君に言われると何だか嬉しいんだよな。
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