04
期末考査最終日の朝。
教科書やノートを開く生徒達の中、俺達も同様に試験範囲の内容を少しでも頭に入れ込んでいた。
池内は気が付けば何処かへ行ったのか姿がなく、何時も池内の座っている定位置には愛斗君が座っている。
「はぁ…」
ノートから目を離し顔を上げれば、悩ましげに溜め息を吐いた愛斗君。
これで何回目だろう。
「愛斗君、溜め息ばっかりでどうした?」
「ん〜…今日バイトの面接があるんだけど…」
「何のバイト?」
「コンビニ。」
詳しく聞けば、間もなく迎える冬休みを目前に焦っているらしい。
今までは地元でバイトを探していたらしいんだけど、今日は地元から数駅先での面接。
面接もこれで5回目だからそろそろ受かりたい、そう言ってまた溜め息を吐いた。
「何駅のコンビニ?」
「えっと…○○駅。」
「………マジか!」
「え?」
「俺の地元だわ、」
なんとビックリ。
愛斗君の口から出てきた駅名は俺が生まれ育った愛する地元だった。
何気に感動、ちょっと嬉しいじゃないか。
「もしかして駅前のコンビニ?」
「いや…駅から徒歩五分…って書いてるから違うと思う。」
「えー、じゃあどこだよ……。」
この時俺は良い予感を感じた。
もしかして。
もしかしたらもしかするかもしれないと、自然に口角が上がっていく。
「ファミマ?ローソン?」
「えっと…ファミマ、」
よしきたっ!!!
今の所俺の予感は99%の確立で当たってるはず。
良い流れだ。
残りの1%は自分の予想が間違いかもしれないという僅かな不安。
しかし不安なんて大した事もなく、ほぼ確実に予感は的中しているだろう。
「多分、多分だけど…そのコンビニ俺んちの横にあるかも。」
「…ホントに?」
「おう、駅から徒歩五分のファミマっつったらそこ以外ないし…良かったら今日一緒に帰る?」
非常に良い流れだ。
俺は内心スキップしながら返答を待つことにした。
「え…いいの?」
「全然いいよ、隣だし。」
「じゃあ…そうしよっかな、」
かなり良い流れだ。
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