01
「愛斗君かわいー」
これ、最近の口癖。
「本当に可愛いなぁ、日に日に可愛くなっていくー…」
「…お願いだから日本語喋って、理解出来ないから、真剣に。」
愛斗君が心底嫌そうに言う。
可愛い子に可愛いと言って何がいけないんだ。
もう本当、愛斗君が最高に可愛い過ぎる件。
日に日に可愛くなっていく件。
どうしよう…俺が可笑しいのか?
前から可愛いなぁと思ってた。
谷本愛斗と言う名前も、平均より少し低い背も、ハスキーボイスも。
Sっ気たっぷりに池内を弄る時の生き生きした表情とか。
なんでかな。
可愛いって思う。
特に文化祭の時…本当に予想外だった。
メイド服を着た愛斗君の太股があんなにエロいなんて誰が思った事か。
文化祭前はふざけてメイド服〜なんて連呼してたけど、実際に着た姿を見てみれば…
狼の群に迷い込んだ子ウサギ的な危なさを感じた。
愛斗君に悪いなぁとは思ってる。
……長谷、だっけ?
ソイツの変態発言に内心どれだけ同意したことか。
うんうん分かるって。
まぁ、俺はアイツみたいなオープン変態じゃないし、あくまでも"思っただけ"なんだけど。
とか言いつつノリと勢いでハァハァしてしまった俺。
ハァハァ、まなたんハァハァって。
仕方がないよ。
可愛いかったし。
長谷ばっかり触って羨ましかったんだよ。
という言い訳で愛斗君を後ろから抱き締めて…
耳元でスーハーして…
フルーティーで美味しそうな匂いを堪能して…
結果、愛斗君が半泣きになるというプチ事件が起きた。
前から何かと「涙もろい」とは聞いていたけど、まさかこのタイミングで泣くなんて…
マジ可愛い過ぎるから!
俺がそう思ったって事は他の誰かも可愛いって思ったはず。
長谷は確実に思っただろうな。
俺も思った。
ツンデレってヤツ、すげぇ良いな…と、
「これがもえ〜ってヤツなのか。」
「え…何の話?」
「…あ、いや…ただの独り言。」
「なにそれー。大きい独り言だな。」
可笑しそうにケラケラ笑う愛斗君がやっぱり可愛いです。
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