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「…谷本君、どうして、」
長谷はまるで捨てられた子犬のように悲しげな表情を浮かべていた。
うん、全然可愛くない。
俺は絶対に拾いたくなくて無視することにした。
「山口、行こ。」
「おー。」
「うわ、今のスルースキル酷いっ!!」
文化祭から数日経った。
前までは文化祭準備に追われて授業が潰れる事が多かったけど、今ではすっかり通常授業に戻っていた。
ちなみに現在は俺が一番嫌いである体育の真っ最中。
「何でジャージ履いてるのー。昨日までは短パンだったのに…」
そう、確かに俺は昨日まで短パンを履いていた。
昨日まではね…
文化祭直後の体育でメイド服の影響か、長谷を筆頭にふざけて身体を触ってくる奴が出てきた。
まず誰かが後ろから抱き付いてきて、また誰かが太股を触ったり服の中に手を入れてきたり…
くすぐったくて笑いながら抵抗したら触り方が前回よりも異常になった。
尻を撫でられるわ乳首を触られるわで…
しかも皆の手が冷たくてまたもや変な声が出るという恥を曝してしまい、あまりの羞恥に若干泣いた。
…と言う事で今日からの体育は完全防備の為に上下ともジャージ。
これ以上生き恥を曝したくないし、触られたくもない。
本当に悪ふざけが過ぎるんだよ。
冗談とかじゃれあいとかそんな言葉では言い表せない恐怖。
もう一生味わいたくないです‥。
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