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その場に居る全員が俺に注目してきて思わず泣き出しそうになる。

いや‥さっきから注目されてたけどさ。

さっきと明らかに違う嫌らしい視線と言うか…。





「見んなよ…ばか…。」

「谷本君…!!ゴメンね、見ないから泣かないで!!」

「ウルサい、取り敢えず見んな、つーか消えろ。」

「っ…涙目で暴言…これこそツンデレ…、」

「本当に黙って欲しい。」


元々涙もろい俺は追い詰められるような状況に耐えきれず、本気で泣く寸前だった。

エスキャラを極めてるのに涙もろいってどういう事だよってな。


どうせ俺は泣き虫でヘタレた野郎ですよ。






「よし!!それじゃ一旦、全員退室!!」


山口が大きな声でそう言ってくれて、俺なんかの為に皆が教室から出て行く。

着替えるだけなのに…と一瞬思ったけど、あの異様な視線をぶつけられながら着替えるのは流石に耐えきれないと内心山口に感謝した。


「ほら早く!谷本君が着替えられないだろ!さっさと皆出て行けよ!!」

「お前も出て行け、むしろお前が一番最初に出て行け。」

「えっ…、マジで?」


ポカンとした表情を平然とやってのける長谷に呆れてしまう。

どう解釈したらそんな表情が出来るんだ。




グダグダ騒ぐ長谷を山口達が連れ出してくれて、ようやく着替える事が出来た。

制服に腕を通しながら、もうメイド服はこりごりだと本気で思う。


メイド服なんて一生着たくないし、着る機会なんて絶対にない、って言うか作らない。


生まれて初めて体験した恐怖とあまりの気持ち悪さに心の底から決心した。



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