04
「事情は聞いた!」
そう言い出したのは池内だった。
「確かにマナトがグッチーの名前呼んでるの見たことないな。」
「…うん、なんかタイミング逃して…。何て呼んだらいいんだろ…。」
「普通にグッチーとか野口じゃね?」
「やっぱりそうだよな…でも呼んでみたら変顔してたし‥嫌なのかも…。」
だからあんな顔してたのかと納得した様子の池内。
はぁ…どうしたらいいんだか。
「つーかマナトは何て呼んだわけ?」
「グッチー君、グッチー、野口君…。そんな感じ。」
「…………なるほど。」
「…え?」
池内はちょっと考えてからまた納得したように頷いた。
俺には池内が考えている事も名前の正解も分からない。
だからこそ今ので池内が正解を見つけ出したのなら俺の溜め息は確実になくなるだろう。
うん、たまには池内も役に立つ!
「で、どうゆうこと?」
「俺の推測だと康喜君って呼んで欲しいんじゃね?」
「えー……、いや…は?……マジないわ‥」
「何でそんな嫌そうなんだよー!‥明日呼んでやれば?ハート付きで康喜君!って!」
「きもー…」
裏声で「康喜くん(ハート)」と言ってみせた池内に鳥肌が立った。
誰が言うか!!
それに高校生の男子が今更名前呼びって何か痛い気がする。
…ま、そう言う俺は下の名前で呼ばれる事が多いんだけどさ。
池内曰わく「愛斗って名前珍しいし、呼ばなきゃ勿体無い気がする」らしい。
「野口じゃダメかな?今更グッチーはヤだし、康喜君もなぁ…、」
「でもほら、試しにさ?」
「はぁ?イヤイヤないって!!」
「でもでも…ー」
prev next