gift
「カ、ブら……虎徹サマからお届け物です」
鳴らされたチャイムと共に拙い発音が続く。鏑木から届け物とのことだが生憎と俺には届け物を貰う覚えがない。一体何事なんだか、と半ば呆れ気味にドアを開ければ目の前にはバーナビーの姿。いやいや何事なんだ本当に、頭を抱えたくなる気持ちを抑えつつも辺りを見渡す。人影が皆無ということから恐らく先程チャイムを鳴らしたのもバーナビーだろうと仮定する、しかしながら例の届け物とやらは見当たらないわけで。
「まさか、お前が届け物か?」
まあ有り得ないだろうと高を括っての俺の問いに返されたのはまさかの頷きで。とりあえずと中にバーナビーを案内すればソファーへと腰を落ち着かせたまま一向に口を開く気配がない。
「それで、鏑木は一体お前をどうしたいんだ」
まずは落ち着くか、とコーヒー片手になんとかそう口に出したもののバーナビーは黙りを決め込んだまま。お荷物が黙りをなんだが、と鏑木へ連絡をしようと腰を上げれば控えめに掴まれた手首に視線を下げる。
「お、じさんに、貴方の誕生日だと聞いて」
耳を近付けなければ聞き取れないくらいの声量で言われたそれに瞬きを数度。漸く事態の把握が出来て拍子抜けの吐息を一つ。目線の下ではバーナビーがちらちらとこちらを窺っているのが見て取れた。
gift
(粋なことするなあ、鏑木も)
(届けられたバーナビーの膝を枕に彼の髪を弄りながら口に出せば)
(おめでとうございます、四季さん、と)
(緩く笑ったバーナビーが俺の額にキスを落とした)
‐End‐
ついったで仲良くして頂いている丞さんへ捧げます。お誕生日おめでとうございます!
20120201.