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人様の恋愛事情

※リバ注意
「んで、お前ら一体何の話をしてたんだ」

永倉の一言にそれまで黙々と酒を煽っていた面々が気まずそうに顔を見合わせて見せる。その様子に当の永倉本人は首を傾げるばかりで四季に至っては先程同様に喉を鳴らし楽しそうに笑っていた。

「なあ、新八」
「んあ?」

四季が口を開くと同時に息を飲むあとの四人。その姿をちらりと横目で見た後に四季は極自然に隣に座る永倉の腰を抱き寄せたのだった。

「……四季、もう酔いが回っちまったのかよ」
「……明日って確かお前んとこは非番だったよな。俺も半日は非番貰ってっからさ、意味は分かるだろ」

永倉の問いを受け流し、四人の視線にも構わず四季は自分の唇が永倉のそれへと着く寸前まで近付き吐息混じりに口に出した。対する永倉もさして咎めることもなく楽しげに笑えば肯定を示すかのように頷いて見せた。

「……へえ、」

くすりと笑みを漏らし二人を見守る沖田となんとも言えない表情で沖田に倣い傍観する原田。斎藤は僅かに視線を泳がし、藤堂は既に俯いていた。それほどまでに今の二人が纏う雰囲気は恋仲同士のそれであったのだ。

「そんじゃ、俺の部屋行くか」

満足げに瞳を細めて永倉を促す四季と頷きを返し立ち上がる永倉。二人の一連の行動に沖田は口の端を吊り上げ笑みを浮かべて見送った。対して原田はお手上げだと言わんばかりに肩を竦め、斎藤は瞳を見開いている。引き戸が閉まる直前、二人の背中へと藤堂が僅かに委縮した声音で問いかければ永倉は眉根を下げて振り返り、四季は肩を揺らして返答をしたのだった。


人様の恋愛事情


(な、あ……結局どっちなんだよっ)
(んー、俺は新八となら上でも下でも気持ち良いってだけは言っておく)
(……まあ現にこの間は、なあ?)
(ふは、今日はどっちが御望みで)
(……)
‐End‐
20101015.