- ナノ -

年齢差

※SSL
はあ、と息を吐いて凝った肩を解すように腕を上げ、首を左右に捻る。ぼき、と怪しい音をたてながらも徐々に解れていく感触に再度息を吐けばディスクの上に置かれるマグカップ。ぎし、と背もたれにおもいきり寄りかかり首だけで背後を見れば風呂上がりなのか左之さんが肩に滴る滴をタオルで拭いながら立っているのが分かった。

「お疲れさん」
「ん、有り難う左之さん」

にへらと小さく笑みを浮かべて礼を言えば頭に置かれる手。あとは提出だけなんだろ、とパソコンのディスプレイを指差して言う左之さんに頷きを返しつつ課題提出用のウェブページを開いた。
大学生ってのも中々疲れるものだと、課題提出によって漸く訪れた夏休みに安堵の息を漏らしつつ言えば。ぐしゃり、と髪を撫でられ、まだ大学生活始まったばかりだろ、と苦笑混じりに返された。

「若えんだから、んなしょぼくれたこと言ってんじゃねえよ」

な、四季と同意を求められたそれに肩を竦めつつも首肯して見せれば。その意気だ、と頭を軽く叩かれて激励というかなんというかそんな応援を貰うこととなったわけで。

「なんかガキ臭くてしょげる」

なんとなく悔しく思いそう愚痴れば。ばーか、今のうちだけだから十分に満喫してりゃあ良いんだよ、と。爽やかな笑みで返された。うん、やっぱり格好良いわこの人本当に。


年齢差


(左之さんみたいな大人になりたい)
(悔しいからぎゅう、とエネルギーチャージ宜しくソファーに座る左之さんを後ろから抱き締めた)
(ふ、甘えられんのも今だけじゃねえのか?)
(抱き締めてるのは俺なのに、またもそんな余裕の笑みを返された夏休みの初日)
‐End‐
20110729.