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誓う

※SSL
見てみ龍之介、月と星がすげえ綺麗。ふと立ち止まった宮路につられて空を見上げれば夜空には星が瞬いているのが分かった。確かに綺麗だと、純粋にただそう感じた。普段は空を見上げるなんてしたこともなかったのに、宮路と共に見た夜空は妙に胸の奥に居座って。なんだか気恥ずかしく感じる。

「なんか良いよな空って」

呟かれた言葉の続きが知りたくて。促す形で僅かに高い位置にある宮路の顔を見上げれば。瞬間的に絡んだ視線と、近付く互いの身体に体温が一度上がった気がした。

「昔から、変わらないだろ」

な、と。こちらを見て緩く微笑む宮路。昔、という言葉がいつを指すのかくらいは俺にだって分かるつもりだ。宮路の顔が至近距離にあって、見上げる形で絡む視線の先には夜空があった。
当時は空を見上げる余裕なんて無かったけどな、そう返せば。雰囲気ぶち壊すなよ、と小さく笑われて。

「これからはゆっくり、歩いていけるだろ」

そう言った宮路は俺の空いた右手を取って、手の甲へと唇を寄せた。


誓う


(誓いのキス、どうよ?)
(……何の誓いだよ)
(んー、俺はずっと龍之介と一緒に居るって誓い)
(……そう、か)
(ん、そう)
(……っ)
(ふは、帰ろっか龍之介)
‐End‐
20110715.