- ナノ -

七夕

※SSL
星の寿命を人間に換算すれば織姫と彦星は三秒に一度の周期で会っている、だとさ。駐車場までの道すがら、煙草の紫煙を煙らせながらもそう呟く。隣の左之助からは何だそりゃ、情緒も何もあったモンじゃねえなと笑う声。

「とんだバカップルだよな、そいつらも」
「ふ、俺達も人のこと言えねえんじゃねえのか?」

くつくつと笑う左之助に煙草を携帯灰皿へと押し付けて何故か、と聞けば。

「俺達も、これから朝まで一緒なんだろ」

色っぽい声音で耳元に囁かれたそれに思わず吹き出した。何こいつ、すげえ格好良いよなちくしょう、と。悔しいからネクタイの緩んだ襟首を引いて唇に噛みついてやった。

「……っ、ふ」

ちゅ、と敢えてリップ音を鳴らして唇を離せば。ばーか、急に盛ってんじゃねえよ、と。これまた至極妖艶な笑みを返された。


七夕


(左之助、)
(ん、)
(好きだぜ)
(そりゃどーも、)
(……で?)
(何ふて腐れてんだよ)
(別にー)
(ふ、俺も四季が好きだぜ)
(ふは、さんきゅ)
‐End‐
20110707.