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マッサージ

※SSL
「永倉センセ、はいどーぞお茶」

そう言って差し出した茶をずずっ、と飲み干す新八はいつもと変わって些か疲れているようにも見えた。そういやもう直ぐで中間だしなあ、だとかなんとか自分自身にだって関係のあることのくせに他人事のように考えていればふと思い付いたことがあり早速実行に移してみた。

「……すげえ凝ってるみてえだけど、」

言いつつ肩を揉みほぐすように両手に力を込める。対して新八は俺の言葉に僅かに首だけで振り返って生返事を返し再度デスクへと向き直りパソコンへと視線を戻した。


「……は、あようやく終わった、ぜ」

溜め息と共に吐き出される言葉に称賛の拍手を贈る。そんな俺にたった今気付いたとばかりに勢いよく振り返って目を真ん丸にする新八は鈍感という他ないだろうと思うわけで。

「……な、四季っ お前、いつから居たんだよっ」

口をぱくぱくと動かす新八は俺を指差しながら至極驚いた様子でそう聞いてきた。それに対してやっぱ気付いてなかったんじゃねえか、と呟き、そして新八の自由になった腕を引く。指一本一本をゆっくり揉みほぐしていれば俺の行動に新八は首を傾げながらも黙ってされるがままになっていた。

「誕生日にまでお仕事を頑張ってる永倉センセの疲れが少しでも癒えますよーに。指、ぎゅうっと握りこまれるとなんとなく指先の血流が良くなる気がしねえ」

あくまで俺流だけど、と。付け加えて言えば数回の瞬きの後にそれは嬉しそうに礼を言うもんだからこっちまで妙に気分が高揚しちまう羽目になった。


マッサージ


(ね、今度温泉行こーよ永倉センセ)
(んあ、まあ別に構わねえけどよ)
(あー、でも手近なとこで銭湯でも良いけど)
(でもまたどうしたってんだよ急に、)
(だって新八が頑張ってっからさ、少しでも癒しになればなーって)
(……お前って時たますげえ良い奴だよな)
(ふは、そりゃ新八が大好きだからに決まってんじゃん)
(そーかよ)
‐End‐
新八さん、多分のおたおめ記念フリーです。お持ち帰り下さるようでしたら当サイト名をページ内の一カ所に入れて下されば幸いです。
20110523.