- ナノ -

休憩

「烝くーん……て、なんだ龍も居たのか」

隊務の合間に出来た空き時間、そういや美味い茶菓子を近藤さんに貰ったなあだとか考えつつ今日非番の人間を探し回る。確か烝君が今日は非番だった筈だと探していれば外にある井戸で顔を洗う龍と、傍らに烝君が居るのを見付けた。

「宮路組長、何かあったのですか?」

非番だってのに律儀に姿勢を正して聞く烝君に軽く首を振りつつ傍らで尚も顔を洗う龍へと視線を向けた。聞けば左之の稽古に付き合ったところ突かれた槍を避けきれずに頬を切ったらしい。巡察が控えていた左之に代わって烝君が龍の面倒を見ている、との事。

「あんた逹、妙に親しげなんだな」

頬の傷を濯ぎ終わったのか龍が僅かに首を傾げ聞いてきた。まあ仲良いっちゃ良いが、俺としては烝君と同じくらい龍と仲良くしてるつもりなんだが。そう言いながら龍の切れた頬を見ていれば烝君が思い出したかの様に俺へと用件を尋ねた。

「あー、時間に空きが出来たから茶でもしようかと思ってな。烝君が今日非番だって聞いたから誘いに来た、勿論龍も一緒に来るだろ。ほら、傷の手当てもしてやっから」

へらりと緩い笑みを浮かべてそう誘えば。二人して数回瞬きをして見せて小さく頷いてくれた。


「それにしてもお前らいつの間にか仲良くなったんだな」

茶を啜りながら聞けば二人とも揃って気まずげに視線を泳がせた。その様子がまた面白いくらいに似ていたもんだから俺は知らずと笑いを溢すこととなった。

「ほら、お前ら二人揃って顔に青痣作って帰ってきたことあっただろ。歳に知られたらまずいんじゃねえかってあの時は心配だったからなあ」
「な、あ……あれはその、だな」
「く、組長がご心配なさる程大したことではありませんので……その、」

俺の言葉に慌てて首を振る二人がまたもそっくりで。俺は危うく茶を吹き出す羽目になるところだった。


休憩


(ま、何はともあれお前ら二人が仲良くなって安心した)
(……そりゃ、どーも)
(も、申し訳ありませんでした)
(ふは、別に謝る事じゃねえだろ)
‐End‐
男主と井吹シリーズ│男主+山崎+井吹
設置/20110309〜20110520