- ナノ -

似た者同士

「まーた、やってるよこいつらは」

俺の言葉に今の今まで互いを睨み合っていた総司と龍は揃って俺の姿を認めるとその視線をそのままにじっと睨んできやがった。

「いや、んな風に睨まれたってよ……お前らがそうやっていざこざってんのが常なのは事実だろうが」

そう言って二人とそれぞれ目線を合わせればまたも二人揃って今度は視線を逸らされた。俺の言葉に視線を逸らすっつう事は少なからず自覚があるようで。それを互いとも分かってるからこそのバツの悪さと言うのか。

「で、また今回は何があったんだ?」

四季さんには関係ないでしょ、だなんて言ったきり総司は完璧に拗ねてやがるからまだまともに話の通じそうな龍に問い掛ければぽつりぽつりと声は小さいながらも訳を説明してくれた。

「龍が煎れた茶に文句、ねえ」

俺の視線から逃げる様にして決して視線を合わせない総司と俺の言葉に肩を竦める龍。今回は龍に分があるだろうなだとか何とか考えつつ龍の持つ湯呑みを手に取り口へと運ぶ。確かに些か温い気もしたが別段濃いわけでも薄いわけでもなく俺からすれば飲みやすい物だった。

「っ、それ僕の飲みかけだよ」

総司が慌てた様に目を見開く姿と龍のぎょっとした顔を見比べる。ふは、やっぱこいつらって反応が似たり寄ったりだよな。

「龍、お前の煎れた茶は美味い。俺が保証する。そんで総司、お前は何でもかんでも龍に八つ当たりするんじゃねえ」

分かったか、そう言って宥めるように軽く総司の頭を叩けば総司は未だ唇を尖らせたままだったが仕方なく頷いて見せた。

「ん、素直な奴は嫌いじゃねえよ。……っし、そんじゃあまあ俺の部屋に美味い菓子があるからよ、仲直りついでに三人で食うか」

へらりと笑い言えば二人は互いに顔を見合わせた後に珍しく穏やかに笑みを浮かべた。おう、やっぱ人間笑ってる方が楽しいよな。


似た者同士


(なあ、お前らって似た者同士って言われねえ?)
(……俺が沖田と?)
(僕が井吹君と?)
(ほら、やっぱ今の呆けた表情もそっくりだしな)
((……))
‐End‐
男主と井吹シリーズ│男主+沖田+井吹
設置/20110109〜20110520